日々の医療を充実させて災害時医療の質を高める

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公益財団法人 健和会 大手町病院 院長 西中徳治

福岡県立小倉高校卒 昭和59 年 佐賀医科大学医学部卒業後、健和会総合病院にて研修 昭和61 年 健和会大手町病院入職 平成元年 日本医科大学救急医学教室救急救命センターにて専門研修 平成2年 健和会大手町病院外科医長 平成6年 健和会大手町病院救急科部長 平成11 年 健和会大手町病院副院長兼救急科部長 平成20 年 健和会大手町病院院長 平成23 年 健和会大手町病院院長兼副理事長

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災害医療対策委員会

 当院では、災害拠点病院として災害医療対策委員会を置いています。院内全部署から各1名、約30人を選出して月に1回会議を行ない、災害医療に関することやマニュアル作成に関する議題を話し合っています。災害に対する備えとして毎年1回行なっている災害医療訓練の準備などもこの委員会で行なっています。

 災害訓練は院長を対策本部の責任者に置き、たとえば昨年の訓練は小倉の断層が揺れたという設定で、加えて院長不在という事態を想定して訓練を行いました。さらに夜間を想定するなど現実の災害に即した条件を設定して行なっています。

 災害拠点病院になったのは2000年の5月です。救急告示病院になるより先に災害拠点病院に指定されています。災害拠点病院としてはかなり古いほうで、災害訓練は想定や規模をかえながら昨年の9月に11回目の訓練を行ないました。

アクションカード導入

 災害マニュアルも最初は冊子でしたが、緊急時に読むのは難しいことを考えて、アクションカードを作りました。一般的なマニュアルもありますが、災害現場ではカードを渡してやるべきことを明確にします。事前に役割分担しても現場では違う役割をしてもらうこともあるので、より実践的だと思います。

 当院の災害訓練は消防署からの評価も高く、当日は外部からも視察に来ています。医師会や消防局の救急科、ほかには連携している施設や北九州の災害拠点病院の方々など。全職員700人のうち、250人から300人が参加してリアルで規模も大きいという評価をいただいています。

病院間の連携

 実際に災害が起きた場合、たとえば南海沖大地震などで九州の太平洋側が被害を受けた場合、当院はDMATを出すのはもちろんですが、災害拠点病院として被災者の受け入れも行なうことになります。

 北九州で災害が起きた場合には基本的に市長からの指示のもとに動きますが、たとえばテロが発生した場合などには消防局、警察から指示があって動きます。災害の規模や質によって指揮系統は変わってくるでしょう。

 訓練以外にも災害に備えた備蓄を行なっています。食料品や水については職員用を含め3日から4日分の備蓄、毛布や簡易トイレなどはまだ十分ではないですが、各病棟に置いています。

 災害拠点病院で一番大事なのは、災害時でも病院がきちんと機能していることです。病院機能を維持したまま3日間耐えることができたらなんとかなります。3日間維持できないということは、九州全体の道路が崩壊しているなどの大災害ということになります。

 福岡県内には災害拠点病院が27カ所あり、北九州だけでも7つありますが、それぞれ災害時にマンパワーが確保できるのかどうか。

 当院の特色は北九州で最多の救急搬送を受けているということだと思います。なにか起こったときに集まるマンパワーに優れ、時間に追われる緊急時にもレベルの高い動きができる。そういう意味では当院の職員の技能は圧倒的に高いし、病院の宝だと感じています。

 北九州市は病院数が多く、共同災害訓練を活発に行なっています。災害時には各病院間の連携がなくてはなにもできません。密な協力関係を築くため、単独の病院でやるより外部と共同してやるほうが違う職種のかたと顔をつなぐことができますので、大切なことだと思います。

日々が災害時医療

 最後に、当院では職員全体に対して医療関係者が災害時に果たすべき役割について、学習会などを開催して意識を深めてきました。職員の意識はほかの病院にひけをとらないと自負しています。

 また、ご存じのように当院は救急医療に力を入れています。1次から3次まで、北九州で一番多くの救急搬送を受け入れている。もっと重要なのは、救急の患者さんに加えて、経済的弱者や環境的弱者の患者さんも日常的に受け入れていることでしょう。災害時には特にこういった姿勢が強く要求されます。

 平常時に行なっている業務のすべてが災害訓練になっており、普遍的には毎日の業務の質を高めることが災害時にも通用する医療を実現することであると考えています。


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