愛媛大学大学院医学系研究科 地域生活習慣病・内分泌学講座 教授 松浦 文三
―講座について。
松浦教授によると、愛媛県民は冬にミカンをたくさん食べて、糖分をとりすぎている人が多いそうだ。「おいしいしですが、糖尿病予防のためには1日3つくらいまでが望ましいですね」とのこと。ミカンに含まれるbクリプトキサンチンの研究も、専門領域の一つ。また2013年からは、日本内分泌学会四国支部長を務めている。
地域生活習慣病・内分泌学講座は、喜多郡内子町の寄附講座として、2010年に開講しました。自治体による寄附講座は、愛媛大学医学部内には県が寄附する講座が3つ(地域医療学講座・地域救急医療学講座・地域医療再生学講座)ありますが、市町村が寄附している講座は、全国的にも珍しいと思います。生活習慣病のほか、私の専門領域である内分泌に関しても、学内で最も専門的な講座です。大学病院内では、内分泌、代謝、甲状腺の各専門外来を担当しています。
教授にはなりましたが、第3内科にまだ籍は置いていますし、私宛の郵便物もそこに届きます。もう私の机はありませんが、毎日8階にある第3内科に顔を出していますから、関係が薄くなっているわけではありません。いつもは1階にいるので、良い運動になっています。今講座に直接属している大学院生はいませんが、第3内科に所属する院生を指導することはあります。
私は以前、上浮穴郡小田町の済生会小田病院(現済生会小田診療所)に勤めていました。第3内科とは、開講当時から付き合いのある関連病院です。だから私も、勉強させてもらった小田という土地には非常に愛着があります。病院があった小田町は、2005年に合併で内子町になりました。
そういう縁で、内子町から寄附講座を作りたいと提案された時、大学は私が適任だろうと判断しました。また小田に深く関わるとは思っていなかったので、嬉しさと懐かしさがありましたね。私の名刺は、内子町の和紙でできているんですよ。
―何年生に教えていますか。
内科学の系統講義で、医学部の第3学年に教えています。生活習慣病と内分泌学のほか、病態栄養学の領域に関して私が中心になって講義します。愛媛県にとっては大事なことですし、内子町の寄附講座ですから、話が地域医療に及ぶこともあります。以前から第3内科の責任講義で内分泌のところを担当していましたから、その延長という感じです。教授になってもあまり講義の内容は変わらないですね。
以前は、松山市内の本学で第1学年に共通教育として基礎的な医学を教えたことがありますし、東温高校(東温市)の看護科(現在は廃止)や松山東雲女子大学で講義したこともあります。特に学生教育を重視しているわけではありませんが、得意だと思っています。
―内子町での活動は。
内子町の保健医療行政への協力も、講座の大きな役割です。
本講座の開講当時、内子町には病院がなく、小田地区には唯一、済生会小田診療所があったのみです。従って済生会小田診療所に私の講座のサブセンターを設置し、週に2日、生活習慣病・内分泌疾患・消化器疾患を中心に、診療を受け持っています。
また小田地区では、自治会単位の少人数で、地域健康教室を夜に開催しています。昨年12月で小田地区のすべての自治区で開催し、地区の半分の世帯の方に参加していただきました。この健康教室は主に生活習慣病への啓発をテーマにしており、特に糖尿病対策を重点目標の一つに掲げています。
一方的に我々が話すだけの集まりではなく、直接質問をしていただき、我々が答えるという小さな集まりです。昨年の特定健診では、小田地区の方はずいぶんと「糖尿病の要指導」が減りましたから、効果があったんじゃないかと思います。
運動習慣をつけようとお話ししてきましたが、道を早足で歩く人が増えているようです。今はまだ小田地区だけの開催・生活改善ですから、今後は町内全域にこの活動を広めていきたいと考えています。
―来年以降の活動は。
講座ができた時、5年間維持するということで、内子町と愛媛大学との間で契約が取り交わされました。今年度はその5年目になります。来年度以降も、また5年間継続したいということが内子町から言われましたので、また5年間活動することになります。
当講座は、大学院生の指導も行なうことができます。今はいませんが、希望があればもちろん受け入れて指導をしたいと考えています。内分泌や消化管ホルモンの基礎研究だけでなく、社会医学的フィールドワークでも対応できます。また脂肪肝や代謝疾患の内容に興味がある院生も歓迎です。
若い人がいるとこちらも元気が出るので、来てほしいなと考えています。もっとも第3内科の研究室をお借りすることになると思いますし、籍は第3内科に置いたほうが良いだろうと考えています。