迅速な救急医療を重視して設計

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社会医療法人盛全会 理事長 小林 直哉

小林 直哉(こばやし なおや)1987 岡山大学卒 同大学医学部外科学第一講座入局 1992 岡山大学大学院医学研究科修了 国立福山病院外科医員 1994 大田記念病院外科医員 1995 米国ネブラスカ州立大学医療センター移植外科研修渡航 2000 岡山大学医学部附属病院助手 2004 中国浙江大学医学院客員教授 2007 岡山大学医学部・歯学部附属病院講師 2010 岡山西大寺病院院長 医療法人盛全会理事長 2013 社会医療法人盛全会理事長

 盛全会の岡山西大寺病院(岡山市東区)は、現病院から500mほど南の敷地に移転新築を計画しており、2016年の2月末に完成予定。東区役所や東消防署などが入る合同庁舎が昨年11月に移転してきた場所の目の前で、区行政の中心部。昨年の12月22日に地鎮祭が行なわれた。病床数は現在の119床から変更の予定はないが、将来的に増床できる設計がなされている。災害拠点病院を目指しており、耐震構造。ヘリポートも設けられる。

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小林 直哉理事長

 私が理事長になり、2013年12月より社会医療法人になりました。以前の盛全会は妻の父が経営していた法人でしたが、より公益性を高めたいという思いが強くあったので、移行しました。

 私が岡山西大寺病院に院長としてきた2010年2月は、義父が学会出張中に心不全で急死して以降経営者不在だった時期でした。病棟の半分が空床、1日の外来患者が100人未満という経営状態に驚いたことを思い出します。幸い義父は整形外科医で、もともと交通外傷など救急を受け入れる素因はありましたから、急速な立て直しには、救急機能の強化が良いだろうと判断しました。またそれが、地域に寄与するためには、最も良い方法だと考えました。

 私は現在、総合診療医指導医の認定を受けていますが、もともとは消化器外科が専門で、救急の専門家ではありません。しかし31歳の時、年間3千件の救急を受け入れる大田記念病院(現脳神経センター大田記念病院=福山市)で1年間、救急部に配属されていました。以後救急にかかわるつもりはありませんでしたが、思わぬところで経験が活きるから人生は不思議です。若いころの1年がなければ、病院を立て直せなかったかも知れません。特に、救急に特化した病院の動線を知っていたことが、大事だったように思います。

 当院に来て一年目は、私が火曜日と木曜日に当直し、その日の救急は断りませんでした。すぐにレントゲン技師と、男性事務員にも当直してもらう体制を整えましたね。そうすると、もともと救急にニーズはある地域でしたから、次第に良好な経営状態になりました。今では人員も揃い、2次までの救急なら365日受けることができます。

 救急が増えるとベッドが埋まり、外来も増えます。今では、多い日には400人の外来患者が来ます。救急受け入れ件数は、2013年に年間1千件を超えました。職員は4年間で150人から330人ほどに増え、現病院では少し手狭になっています。耐震補強の問題や、老朽化もあり、建て替えが必要になったわけです。

 新病院の設計で最も重要視したのは、迅速な救急医療が可能であることです。受け入れやすいことと、診断や検査、治療が速やかにできることが、とにかく大事なんだと設計士に理解していただきました。また、当直室も良い部屋を作るよう、しっかりと頼みました。現在も、広いベッドを置き、コーヒーメーカーがありくつろげます。当直医が疲弊しない環境も、救急医療には大事です。

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新病院の完成予想図。現在の機能を拡張することが主目的だが、「もちろん拡大だけでなく、縮小やその後の転用も視野に入れて、各部屋は設計されています」と小林理事長は言う。

 救急医療以外では、病院の立て直しのために透析を始めています。私は体外式バイオ人工肝臓の研究を長くしており、これに透析装置を使っていたのです。以前からこの時の研究を臨床に活かしたいという思いがありました。現病院では手狭になった透析室を広くすることも、移転の目的の一つです。

 透析室は水回りの整備が必要で、給水や処理に適した場所に配置する必要があります。現病院では広くない部屋を改装することでしか始めることができませんでしたが、新病院では最初から透析室を設計に組み込んでいます。今は13台ですが、25台に増やす予定です。部屋自体は余裕を持った設計ですので、将来40台まで増やすことが可能になっています。

 数年前までは、整形外科の病院だと地域の人には思われていましたが、今では救急や透析の病院として認知されはじめています。もちろん整形外科も大事にしており、2013年4月から院長に、整形外科の名医である花川志郎先生を迎えました。私は28歳の時に転落事故で左大腿骨を骨折しましたが、その時の主治医で、以来ずっと尊敬していた先生です。副院長をされていた岡山ろうさい病院を定年退職されることを聞き、是非にとお願いしたのですが、義父の野球部の後輩だったことが分かり、縁の不思議さも感じました。

 新病院では、内視鏡室を増やしたいなと考えています。胃がんや大腸がんは私の専門で、一番好きな領域です。今は内視鏡室が1つですが、これを3つに増やします。将来は内視鏡手術が盛んな病院にしたいですね。

 また法人には病院だけではなく、義父が作った老人介護保健施設があります。退院から在宅復帰までのフォローが必要だと感じて計画したもので、施設の素晴らしさを知った時は感嘆しました。日光を浴びるように窓が多く、山に囲まれ、5本の桜が綺麗な、職員の自慢の施設です。この施設が、医療を補うことは重要ですから、新病院移行後も連携を大事にしようと考えています。


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