第35回日本臨床薬理学会学術総会

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 昨年の12月4日から6日までの3日間、松山市のひめぎんホール、ひめぎんホール別館、愛媛看護研修センターで、第35回日本臨床薬理学会学術総会が開催された。大会長は愛媛大学大学院医学系研究科薬物療法・神経内科学の野元正弘教授。シンポジウムは38題企画され、幅広いテーマを扱った。運営事務局がおかれた㈱日本旅行中四国コンベンショングループによると、参加人数はおよそ2000人。

日本を支える産業として

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名古屋学芸大学の井形昭弘学長の特別講演で座長をする野元大会長。

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ひめぎんホールの前には、JR松山駅や松山市駅から道後温泉に向かう路面電車が停車し、交通の便は良い。

 会長講演は愛媛大学の大橋裕一副学長を座長に講演された。

 野元会長は「日本の景気は40年周期」だと述べ、1868年の明治元年、1905年の日露戦争に伴う繊維産業の興隆、太平洋戦争終戦、80年代のバブル景気などを紹介した。だがバブル景気を支えた自動車や家電製品の製造は、現在海外に拠点を移しており、次の時代に日本を支える産業が必要だと説明し、医薬品と医療機器の開発が期待されていると述べた。化学と医療機器の製造は、現在愛媛県の産業のうち大きな割合を占めるという。

 愛媛大学医学部附属病院の動きとして、2002年に治験を管理する目的で設置された創薬育薬センターや、2004年に設置された創薬治療内科の紹介があった。また全国に先駆けて2010年に竣工した研究専用の病棟、臨床薬理試験専用病棟16床の現在の稼働状況も説明した。薬の自動車運転への作用、眼科で用いる医療機器を海外へ導出するための試験、血糖測定機器の開発、パーキンソン病治療薬の試験、白血病治療薬の臨床薬理試験などが行なわれているという。

 このほか、2014年に愛媛大学内に立ちあげられた、臨床研究探索医学講座の紹介や、CRC・治験業務に関わる事務職員の研修が紹介された。

薬害は慎重な配慮が必要

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日本医師会治験促進センターの「カット・ドゥ・スクエア」が紹介された第2会場は、満員になった。

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企業展示の様子。46の企業・団体が出展した。

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企業展示ブースでは、済生会松山病院治験管理室の清水良治室長が、済生会共同治験の紹介をした。

 野元会長を座長に、名古屋学芸大学の井形昭弘学長が、SMON(亜急性脊髄視神経症)の解明に関わった経験を語った。

 SMONは50年代に発生し、ウイルスに起因する説が有力だった。患者は伝染を防ぐために疎外され、自殺者が続出した。整腸剤キノホルムの中毒が疑われ、1970年に販売禁止の措置で発症は終焉している。アミーバ赤痢の治療薬として用いられていた時のキノホルムの使用は限定的で、副作用の報告はなかったが、その後抗生物質の耐性菌に対する薬剤として用いられ、国民皆保険制度の影響もあり大量投入されたという。当時の薬理学の教科書には「水に不溶、腸でも溶けず長く腸内に名古屋学芸大学の井形昭弘学長の特別講演で座長をする野元大会長。 昨年の12月4日から6日までの3日間、松山市のひめぎんホール、ひめぎんホール別館、愛媛看護研修センターで、第35回日本臨床薬理学会学術総会が開催された。大会長は愛媛大学大学院医学系研究科薬物療法・神経内科学の野元正弘教授。シンポジウムは38題企画され、幅広いテーマを扱った。運営事務局がおかれた㈱日本旅行中四国コンベンショングループによると、参加人数はおよそ2千人。滞在して殺菌効果を呈する」と記載していたが、実際は70%が吸収され、長い時間生体内に残留する性質であることが尿の分析から分かった。

 井形学長は「安全とされていた薬にも副作用があると社会に認識された事件だった。厚生省が1972年に難病対策要綱を定めるきっかけになった」と述べ「薬剤には2面性があり、薬効と副作用両面からの評価が必要だ。薬害への配慮を常に忘れてはならない」と訴えた。尚、キノホルムは毒性が強調され排斥されたが、現在ではアルツハイマー病の有効薬として再評価されているという。

未承認薬を患者に届ける

 国立がん研究センター中央病院治験管理室治験事務局の後澤乃扶子局長は、未承認薬・保険適応外薬を、医療上必要性の高い患者に届ける方法として「医師主導治験」および「先進医療」の活用を勧め、概説を行なった。また、昨年6月24日に閣議決定された「規制改革実施計画」において示された「患者申出療養(仮称)」についても紹介があった。

統一書式で治験を効率化

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会長講演の様子

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ポスター展示の様子

 第一三共㈱研究開発本部開発推進部の粟村眞一朗、第一三共RDノバーレ㈱臨床開発部の中濱左信、㈱新日本科学臨床薬理研究所九州エリア支援部の黒木沙織の3氏が、日本医師会治験促進センターの「カット・ドゥ・スクエア」を紹介した。

 これは治験関連文章を電子化するためのシステムで、統一書式で文書が作成・送付が出来るだけでなく、治験依頼者、医療機関、IRB(治験審査委員会)の3者間でファイル共有が可能。郵送のタイムラグがない情報共有や、訪問回数の減少などが大きなメリット。粟村氏は導入までの経緯とトレーニング、中濱氏が利用状況を伝えた。

 黒木氏は、鹿児島市医師会病院IRBでの評価を報告した。4㎏を超える紙の資料を持ち歩かなくて済むようになったなど、おおむね好評で、また議事録作製に要する時間も短縮され、担当する件数も増えたという。

次期大会は今年の12 月9日から3日間、東京都新宿区の京王プラザホテルで開催される。大会長は明治薬科大学薬物治療学の越前宏俊教授。

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