師走に入ると毎年恒例、TVから山鹿流陣太鼓の音が聞こえる。もっとも陣太鼓は四十七士を描いた物語の創作で、実際の山鹿流に存在はしない。
赤穂浪士の活躍は昔も今も日本人の好きな話だ。狂言の「東海道四谷怪談」は、「仮名手本忠臣蔵」の外伝という扱いで人気を博した。
芝居の世界では「独参湯」という、気つけ薬の名前で呼ばれている。これは効き目の強い漢方薬らしく、客の入りが悪い時に上演すると、大入りになるという意味。
比喩としての薬はともかく、実際に効き目の強い薬は扱いが難しい。先月開かれた厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全部会で、解熱鎮痛剤のロキソプロフェンナトリウム水和物を用いた市販薬のリスク区分が審議された。厚労省は指定第2類に引き下げる思惑だったが、結局は乱用が懸念され、薬剤師からの情報提供が必要な第1類に据え置かれた。
市井の反応を見ると、意外にもこの決定を歓迎する声が大多数で驚く。市民はどうやら、薬の危険性を知っているらしい。それが分かり、安心をした読者は多かろうと想像する。