福岡市出身の堀江慎一さん(45)。福岡市博多区吉塚にある会社に勤めている。
浜田省吾が好きで音楽に興味を持ち、ベースギターを手に。高校の文化祭で初めて演奏したという。「20代前半は東京で活動していました。アマチュアレベルでしたが楽しかったです」。
年は過ぎ、今もまた勤務先に近い東公園で猛練習中。ジャズやブルースなどが得意で、玄人はだしの演奏に、散歩している人が立ち止まって耳を傾けることもある。
「どうしても挑戦したいことがあるんですよ。やっておかなければ心残りになる」。
来年、単独で渡米して、ニューヨークの路上で自分の音を聞かせたいと目を輝かせる。とはいえ米国は初めて。つてもない。
「空手をやっているんです。ニューヨークの道場で教えている日本人を頼るつもり」
奥さんには時間をかけて説得したそうだ。
「むこうで演奏できたら、その様子をメールで送りますから、新聞に載せてもらえますか」
それが励みになって夢がかなうなら、約束しますよ。そう返事して公園をあとにした。
後ろのほうからジョン・レノンの「イマジン」が、低く深く、広がりながら記者まで届いた。