来年9月に新築移転、回復リハ病棟・地域包括ケア病棟新設 地域の「かかりつけ病院」に

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総合病院 福島生協病院 病院長 田代忠晴

1981年広島大学医学部卒、中通総合病院研修医 1985年総合病院福島生協病院 2008年同病院長 専門分野:外科・肛門科 認定・専門医:検診マンモグラフィ読影認定医

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 創立60年を迎える広島市の福島生協病院。2015年9月には新病院がオープンする。回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟を新設する同病院。その狙いや展望を、田代忠晴病院長に聞いた。

 創立以来、急性期医療もしつつ、慢性期疾患管理、在宅医療もやってきました。今、4病棟165床(うち1つは障害者病棟)の病院と、隣接するクリニックがあり、クリニックにはこちらの医師が出向いて慢性疾患と在宅の患者さんの管理をしています。

 新病院には、急性期医療から慢性期、在宅への流れを結集することで、効率的な運用が可能になると考えています。

地域での暮らしと療養を支えたい

 「高齢者救急を核とした、地域の総合的な医療要求に、可能な限り応える地域のかかりつけ病院」。今もそうありたいと思っていますし、新病院でも実現したいと思っています。

 中小病院ですから、大学病院や市民病院などの大病院のような高度医療は提供できません。でも、がん治療などは、長期間かかります。私たちは、地域で暮らし、療養していく部分をがっちりと支えていく病院でありたいと考えています。

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新築移転工事が進む新福島生協病院。

 新病院は「回復期リハビリ病棟」と、「地域包括ケア病棟(在宅支援病棟)」の新設が大きな柱です。

 回復リハ病棟は、障害を持った方がきちっとしたリハビリを受けることで家庭生活や社会生活を送れるようにする重要な役割を果たします。

 高齢者の方は、ちょっとした手術で1、2週間寝込むと、筋肉がやせて歩けなくなり、そこからいろいろな病気を併発して、結果として寿命が短くなってしまいます。

 高齢者の方は、やはり病気になります。入院して治療を受け、そして、そこから立ち上がる時には、集中的なリハビリがとても大切で、患者さんもそれを非常に望んでいるんです。

 地域包括ケアで、中小病院が果たす役割は大きい。一般的に、重篤な状態の大手術など、大病院での治療の後には、ADLがかなり低下してしまいます。そんな患者さんが家庭や社会に帰れるようカバーしてあげるのが新病院の「地域包括ケア病棟」の役割です。

 在宅復帰のためのリハビリや医学的管理もしつつ、家屋調整や介護保険の使い方、在宅での医師やヘルパーの入り方など、各患者さんの状況、疾病に応じてサポートしていかないといけない。それは急性期病棟で患者さんを診ながらでは難しいのです。地域包括ケア病棟では、地域の開業医の先生方を含めたカンファレンスも活発に行なっていきます。

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現在の病院の様子。左奥に見えるのが、建設中の新病院。

診断、治療から社会復帰まで、つながる医療を

 とは言え、急性期病棟も絶対に必要で、新病院では、そのための内科、外科の2病棟も大切な機能を果たしていきます。診断し、治療し、家庭に返す。つながる医療を切れ目なく提供していこうと思っています。

 また、隣接のクリニックには、今、病院にある小児科を移し、小児外来の形で再出発しようと思っています。小児科は現在医師が1人で、入院対応が難しい。今は要求される小児科のあり方も変わってきていますので、病児保育など、これまでと違う発展の仕方を追求していきたいと思います。

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建設中の新病院。来年の6月に竣工する予定。

医者になりたくてなりたくて頑張った

 医師になったきっかけは、高校生のころ、山本周五郎の「赤ひげ診療譚」を読んだことですね。貧しい人たちに医療を行なう赤ひげの生き方、あり方に、純粋に感動して、そこから頑張ったんです。医者になりたくてなりたくて。浪人したり、留年したり、ということもありましたけどね。

 当病院も、差額ベッド代はいただかない無差別平等の医療というのが所信にあります。格差社会の中で苦しんでいる人たちに、きちっと光を当てていく。民医連生協というのは、ある種赤ひげ的医療を行っているところでもあります。

 患者さんと接して医療行為をしていく。私は、それをやりたくて医者になったんです。

 だから私は、病院長の仕事だけでは、生きていかれない。現場での自分のやりがい、生きがいを感じつつ、それを管理運営に反映していく。両方やって初めて病院長としての業務ができるし、医者としての活動にも生かしていかれるのではないかと思っています。

 医師になって、日々、治療をしたり、自らのトレーニングで診断や手術の技術が上がり、その結果、患者さんがよくなったりすることに、非常に充実感を覚えます。医者になってよかったなと思いますね。

 私は外科医ですから手術後に亡くなる人もいます。それがすべて不可抗力だったのか、技術や判断の未熟さがあったのではないかと反省することも多いですが、だからこそ一生懸命勉強しました。医療というのは日進月歩ですから、今も、もっといい医者になろうと努力しています。

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現病院の敷地内には、原爆被害の様子を描いた碑が多数ある。写真は「ピカドン」というタイトルの絵で、原爆が投下された瞬間を描いたもの。きのこ雲が上空に大きくあり、説明文には「街は一瞬にして廃墟と化し、強烈な熱と爆風、放射線が数十万の人々の生命を奪い、生き残った人々もいまなお心と身体の被害に苦しんでいます」と書かれている。

総合的アプローチも、面白い

 医師になりたての人には、「人間をみて治療するのも面白いよ」と言っています。今、専門分化の時代です。一つの臓器、手術を極めて掘り下げるのも一つの手だと思いますが、生物学的にだけでなく、経済や政治も踏まえて社会学的にきちっと取り組んでいかないと、本当の意味で、患者さんはよくなっていかないのではと思います。

 うちの病院はなんでも屋です。こういう病院に来てほしいという気持ちもありますから、その意味でも「総合的にアプローチしていくのは、より楽しいよ」と言いたいですね。


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