窪田泰夫・香川大教授に聞く 日本皮膚科学会西部支部学術大会 11 月8・9日開催 「ともに歩む」の願いを込めて

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今回の学会テーマは「同行二人の皮膚科」これはお遍路さんの修業からいただきました。(窪田 泰夫)

1979 東京大医学部卒、附属病院皮膚科 1985 米国国立衛生研究所(NIH)留学1988 山梨医科大皮膚科 1990 同大医学部附属病院講師 1992 聖マリアンナ医科大皮膚科助教授 1999 香川医科大(現・香川大医学部)皮膚科教授

 香川県高松市で11月8日(土)・9日(日)、第66回日本皮膚科学会西部支部学術大会が開かれる。
大会長の窪田泰夫・香川大学皮膚科教授に見どころと思いを聞いた。

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 今年は四国八十八カ所巡りの遍路道が開祖されてから1200年という節目になります。私は高知出身なので、四国を巡るお遍路さんの菅笠姿を見て育ちました。

 お遍路さんの修行「同行二人」は「独りよがりになることなく、いつも空海と寄り添って歩く」というものだと思います。今回、22年ぶりに香川で開かれる日本皮膚科学会西部支部学術大会のテーマは、そこからとって「同行二人の皮膚科」としました。「患者さんと医師」、「知識と経験」、また「基礎と臨床」など一見相対するものも、尊重しあい、ともに歩んでいくべきという願いを込めています。

 ちなみに今年は、夏目漱石の「こころ」が発刊されて100年目となります。そこで、学術文化講演では、私の大学時代の同級生で、筑波大学大学院人間総合科学研究科の高橋正雄教授に「精神医学的にみた夏目漱石―病みながら生きる者への畏敬」についてのお話をお願いしています。

 人間が病みながら生きるということ、病みながら生きる患者さんへの畏敬の念を持つということを、漱石のワークライフバランスを振り返りつつ語っていただくことは、この節目の年に、とてもシンボリックだと思います。

会長講演はアトピー性皮膚炎を軸に

 私の会長講演でも「同行二人」ということで、量的な研究と質的な研究の2本柱でお話ししたいと思っています。

 質的な研究でいうと、香川大学では、これまで、患者さんのQOLや意識といった数値化が難しい研究を積極的にやってきました。

 例えば「ステロイド」という響き。ある患者さんは不安を感じるかもしれません。心配や不安は、患者さんの積極的な治療参加を妨げ、服薬などが不真面目になり、治療効果が落ちてしまいます。

 そこでステロイド外用薬について、患者さんがどのように感じているか調査しました。その結果、何らかの不安を感じる患者さんが半分以上いることがわかったのです。

 以降、ステロイド外用薬を長期的に使用するアトピー性皮膚炎の患者さんを中心に、ステロイド節約型治療を提唱してきました。何を使うかではなく、どのように使うか、そしてどうやめるか。出口を患者さんに早い段階で説明することで、不安を取り除き、それによって治療効果もQOLも上がっています。

 一方、アトピー性皮膚炎の病態の一つであるバリア機能の低下と、その原因となる酸化ストレスについての量的研究もあります。酸化ストレスを減じることで、皮膚と皮膚の接着が高まりバリア機能が堅固になるという研究データも報告しています。

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多彩なシンポジウムも

 22年前、香川で西部支部学術大会が開かれたときの全体テーマ「皮膚科とIT」を今回はシンポジウムのテーマの一つにしています。

 近年は、タブレット端末などが普及し、患者さんや学生とのコミュニケーションツールとしても使われるようになってきました。

 例えば、軟膏の塗り方を録画して、患者さんに待ち時間に見てもらう。診療時間の短縮になるし、写真などで見るよりわかりやすいですね。

 遠隔地からインターネットで画像を送って診断に役立てる、皮膚科の地域連携「かがわ遠隔医療ネットワーク(K‐MIX)」の話など、さまざまなIT活用状況につ いてご紹介できると思います。

 また「後期高齢者の皮膚がん診療」では、香川大学が若い医師の発案で5年間行っている出前型の皮膚ガン相談についてご紹介します。

 島や山間部のおじいちゃんおばあちゃんは、交通の便の悪いところに住んでいる人や、車を運転しない人もいます。そういう人たちを対象に、地域の行政や保健師さ ん、看護師さんとも協力して、皮膚ガンの早期発見に貢献しています。

 「基礎老化研究」では、他の診療科の視点で「老化」を見てみたいと思っています。皮膚科では光老化などは日常的に扱うことが多いですが、内科 など畑が違う診療科の情報に触れることはあまりありません。いい機会になるのではないかと思います。

お遍路さんのお接待の心で

 今回、私を含めた運営の主だったスタッフに香川県出身者がいません。出身者ではない人間から見た「香川」をどれぐらいアピールできるか、お遍路さんへのお接待の心をどれぐらい表現できるか、ということを考えています。

 香川のうどん屋さんは、麺がなくなり次第閉店なので、午後3時ごろには閉まってしまう。学会にまじめに出ていると、うどんを食べていただけないんです。

 そこで、学会場に有名店の屋台を出してもらい、ネームカードを出せば何杯でも無料で食べられるようにしました。瀬戸内海の風を感じながら、外の屋台で食べるう どんは格別です。「小腹がすいたらうどんでおもてなし」。そんなお接待を考えています。

 多くの先生方は西日本や東京からお越しになると思います。東京からの飛行機の便数は増えていますし、そんなに不便ではないのではないかと思 います。会場は駅からも近いですし、瀬戸内海も見られます。多くの先生方にお越しいただけたらと願っています。


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