中四国の乳がん
日本医療政策機構（黒川清代表理事＝東京都千代田区）が昨年８月にまとめた都道府県がん対策カルテ２０１３によると、中四国で最も乳房の癌による死亡者が高いのが山口県で、全国３位。その次に高いのが鳥取県の25位で、中四国ではおおむね全国平均よりも、乳癌による死亡が少ないようだ。山口県の場合、40歳以上女性の乳がん検診率は19.8％で、全国で２番目に低い（平成22年の調査）。検診率の低さが、死亡率に結びついていると思われる。同県は子宮癌の検診率でも、19.8％と全国で２番目に低い。
一方で、島根県の検診率は19.1％と全国で３番目に低いが、死亡率は４番目に低い。検診率が低いにも関わらず死亡率も低いが、これは島根県女性の喫煙率が5.4％と全国で最も低いことも関係しているのかも知れない。
中四国各県で、検診率が最も高いのは岡山県の30.1％。全国で３番目に高いが、他県は目立って高くはなく、おおむね低い。高知県は24.8％で、全国24位とちょうど真ん中の順位。兵庫県が18.9％、福岡県は20.9％と隣県も低い。
以下に、各県の検診率を、高い順に記す。
岡山県、愛媛県26.2％、広島県25.6％、香川県24.9％、高知県、島根県22.5％、徳島県22.4％、島根県、山口県。
「癌」の字は乳がんの意味か？
レンブラント・ファン・レインが17世紀の半ばに描いた「ダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴」では、モデルの女性が乳がん（異説有り）だったらしく、左の乳房が変形しているさまが模写されている。この絵は現在ルーブル美術館に所蔵されており、「レンブラントが描いた裸婦画の最高傑作」と評する評論家もいる。
がんは老化にともない多く発症することが知られるが、乳がんは若くても発症することがあるし、乳房の変形もあって専門的な知識がない者にも比較的分かりやすい。歴史を紐解けば、乳がんは比較的古くから知られた病気であったようだ。
壽の字を「士のフエ一吋（いんち）」とおぼえるように、癌は「品の山の病」とおぼえるが、山の字が乳房を連想させ、少し調べてみた。
そもそも「ガン」という漢音は、「丸」や「岸」「頑」「厳」という漢字の音であり、どうやら「固いもの」を表す音であるらしい。天空に固定された「star」や、動きを止めたことを表す「stop」、強度や強さを意味する「strength」のように、「ｓｔ」から始まる英単語に近いのではないかと思う。
「ガン」という音の代表格には「岩」の字もあるが、調べてみると、江戸時代の医学書に乳がんを「乳岩」と書くものがあるという。単純な誤字も考えられるが、乳がんのしこりの固さを岩と表現したのかもしれない。中国でも、「岩」や「巌」の字を当てて表すことがあったという。
「嵒」の字は岩の異字体であるから、「岩の病」とおぼえても良いだろう。前述のように「しこりができる病気」の意味とも考えられる。山は乳房の形と関係はなさそうだが、辞書によると乳がんが語源と考える説は有力らしい。
今後の乳がん関連学会など
平成26年
■第11回日本乳癌学会中国四国地方会９月20・21日 広島国際会議場＝広島市中区
■第２回乳房オンコプラスティックサージャリー学会総会10月３・４日 ホテル日航東京＝東京都港区
■第33回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会10月18・19日 別府国際コンベンションセンター＝大分県別府市
■乳房文化研究会定期研究会「乳がんは、予測できる？」10月25日 ㈱ワコール本社＝京都市南区
■第24回日本乳癌検診学会学術総会11月７・８日 ベイシア文化ホール・前橋商工会議所会館＝群馬県前橋市
平成27年
■第24回日本乳癌画像研究会２月13・14日 東京ファッションタウン＝東京都江東区
■第21回日本乳腺疾患研究会２月27・28日 岡山コンベンションセンター＝岡山市北区
■第21回日本産婦人科乳腺医学会３月１日 東京大学伊藤国際学術研究センター＝東京都文京区
■第23回日本乳癌学会学術総会７月２〜４日 東京国際フォーラム＝東京都千代田区
