なぜ外科医は学生時代にスポーツをやっていた人が多いのかを、九州大学脳神経外科の飯原弘二教授に聞いてみた。教授は九大のラグビー部に所属していたそうである。
それはあるかもしれませんねと教授は言った。試合前に、どこらに山場が来るかを予想し、その山場が外れた時に集中力をどう持続させるか、また、同点のあとの延長戦をどう闘い抜くか。外科医がスポーツから学ぶことは多いと言う。「体調があまりよくない日でも手術が近づくと元気になるんですよ」と笑った。それを聞いて納得できた。
気力と体力と、シミュレーション、そして集中力。これらを同時に養うのにスポーツにかなうものはない。前号の「人」欄に登場した、毎日10〜30キロメートル走るという案浦さんも、「集中力が高まってくるんですよ。切れたらそこで終わり」と言っていた。
毎年この季節に語るであろう言葉に「スポーツの秋」がある。でもやっている人は、秋でなくともやっているだろう。