数学者岡潔(おかきよし)の名前を聞いたことがあるだろうか。1901年に生まれ、1978年に没した。一般には著書「春宵十話」が読まれている。
その中に、「いまの学生で目につくことは、非常におごりたかぶっているということである。もう少し頭が低くならなければ人のいうことはわかるまいと思う」とある。
当紙の院長取材でも同様の意見をよく聞く。昔も今も一緒のようだ。
岡はほかに、美について、「情緒があって美が外に出るのであって、外に美があって情緒で受けるのではない」と述べている。
高齢化社会で、内面的劣化の著しい高齢者をそこかしこに見る。昔の教育を受けた人に必ずしも情操や情緒が備わっているわけではない。数日前、道ばたに横になって目と口を開けたままにしている高齢の男性を見かけた。これから増えていく光景だろう。
さらには女性の顔について、「超スピードで進化を逆行し(中略)、動物だけではすまないで、人造人間を作っているのかもしれない」と書く。すぐれた学者は、すぐれた予言者でもある。