岡山医療生活協同組合 総合病院 岡山協立病院 院長 髙橋 淳
■所属学会 日本内科学会 日本循環器学会 日本プライマリケア連合学会 日本救急医学会
■認定医・専門医 日本内科学会総合内科専門医、認定内科医 日本循環器学会循環器専門医
岡山協立病院は岡山医療生活協同組合の基幹病院として法人内外の事業所と連携しながら医療・介護・福祉の充実に努めている。病床数318床、職員610人、診療科が23、急性期病棟、特殊疾患病棟、回復期リハビリ病棟、緩和ケア病棟で構成されている。現在、地域の医療機関と連携を深め、140か所以上の連携をとっている。今後も数を増やしてこれまで以上にスムーズな連携を図っていくそうだ。
当院は昭和27年に開設しました。岡山市内6万3千人の組合員が出資して運営に参加しています。各地域で班や支部を作って熱心に活動をし、班会では定期的に血圧測定や尿検査などを行なって、健康についての勉強をしたり、医師を含めて職員が赴いてレクチャーを行なっています。
医療生協が発行する会報「健康と生活」、岡山協立病院の「虹のなかま」がそれぞれ月一回発行され、組合員が手配りで配布しています。
また各支部のサロン活動も活発で、レクリエーション、1人暮らしのお宅への訪問活動、子育て中の若いお母さんを招いての会食、元教員に協力してもらっての夏休み子ども宿題応援隊などをしています。
月に1回行なわれる病院利用委員会には、組合員さんや患者会の代表に入ってもらい、意見を聞いて病院の運営に関わってもらっていますし、病院の管理会議には3か月に一度、医療従事者ではない理事に病院運営について説明し、意見を聞かせてもらっています。
医療生協の理念は「一人一人の人権を大切にする」、「生命は平等」です。具体的には開設以来、差額ベッド料はいただいておりません。また、2年前より無料及び低額診療事業(生活困窮者に対し、一定の条件を満たせば診療費を減免、または無料にする制度)をおこなっています。歯科も含めた利用者は延べ300人、約540万円を減免しました。
岡山市と県南東部の総人口は今後減少していき、20年後には現在より10%減少する見通しです。
今は岡山市内に急性期病院が乱立している状況で、需要と供給のバランスが悪い状態が続いています。今後激増する要介護者が入院する場合、在院日数が短縮される急性期病院だけでは支えきれなくなります。我々は急性期はもちろん亜急性期も重要視していくつもりです。しかし高齢者で急性期の患者さんは必ず増えるので、日常頻発する救急疾患(感染症、心不全、転倒、骨折)に対応する間口の広い救急医療に取り組むつもりです。
救急車受け入れ件数が年間1千600件で、岡山市内の病院の中で7、8番目、伸び率では過去2年間では2番目です。脳卒中の超急性期には対応出来ないので受け入れ率は82%ですが、今後は何とか86〜87%までには伸ばしていきたいですね。
今年度中に救急科を独立させてスムーズな受け入れが出来るように準備を整えているところです。
地域の病院、慢性期病院、福祉、介護施設と連携して急性期、慢性期、在宅の橋渡しができるような病院を目指していきます。
また女性医師が仕事と家庭の両立を出来るように常勤医にも時短勤務を認めています。
仕事と家庭の両立をしている女性医師と接して感じるのは「子育てをしながらでも働きたい」、「社会貢献がしたい」との熱い思いを持っている人が多いことです。人間的にも魅力があり、患者さんやスタッフからも信頼されていて、男性医師も見習うべき点が多々ありますね。彼女らの意欲が周囲にも伝わり、いい影響を及ぼしていると感じています。
私の父親は精神科医であり、大学の教員でもありました。医学部ではなく歯科大学でドイツ語の教員をしていました。医学専門学校を昭和19年に卒業、その翌年に終戦を迎えて日本の価値観が一変した時に医師になったので、当時の想いを幼いころから聞くことができました。医師になろうと思ったのは父親の影響が大きかったですね。
趣味を通り越して、生きがいになっているのがサッカーです。中学、高校大学とサッカー部に所属し、今はシニアサッカーのチームでプレーしています。年間約25試合に出場し、トレーニングもかねて毎朝4キロ走って通勤しています。
ワールドカップ開催中は、早寝早起きをしてテレビ観戦し、事務長から「もっと院長らしくしてください」と怒られてました。
最近印象に残った本は柴宣弘著「ユーゴスラヴィア現代史」(岩波新書)です。90年のワールドカップ以来、旧ユーゴのサッカーに魅了され、その背景にある複雑な民族対立に興味を持ちました。
当時のユーゴスラヴィア代表監督イビチャ・オシム氏(元日本代表監督)を敬愛していて、ジェフ市原の監督時代にナビスコカップ決勝に進出した時には、国立競技場に観戦に行きました。