「地域包括ケアと総合診療医育成に力を入れます」

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独立行政法人地域医療機能推進機構 九州病院 院長 多治見 司

1972 九州大学医学部卒業 同循環器内科入局 1974 同医療情報室医員 1979 同冠動脈疾患治療部医員 1982 カリフォルニア大学サンディエゴ校研究員 1985 九州大学病院冠疾患治療部講師 1987 九州厚生年金病院健診部部長 1994 同循環器部長 2000 同内科部長 九州大学病院臨床教授 2002 九州厚生年金病院副院長 2010 同院長 2014 地域医療機能推進機構九州病院院長 地域医療機能推進機構九州地区理事

 2014年4月1日に九州厚生年金病院は独立行政法人・地域医療機能推進機構九州病院(略称・JCHO九州病院)として、新たな一歩を踏み出した。独立行政法人・地域医療機能推進機構は、地域の医療・福祉を様々な面から下支えする使命を与えられ、全国57の病院に加え、付属関連87施設がその傘下に入っている。

―今年4月から独立行政法人になりました。

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 これまでの病院機能を一層伸ばし、今後は機構の理念に従い、地域包括ケアと総合診療医の育成にも力を入れます。

 総合診療医には2通りあると思います。1つは病院内で、もう1つは地域で総合診療を行なう医師です。どちらも必要だと思っています。病院では合併症などを多くもつ患者さんに対して各科をまとめるオーガナイザー的な役割をこなす人材が必要です。また救急の現場でも総合診療医が求められます。

 新しい専門領域ができると、その都度、専門医が必要になり、医師の数がどんどん増えてきますが、現実問題としてそんなに多くの医師を雇う余裕もなく、確保もむつかしいのが現状です。各科に幅広い領域を診られる総合診療医がいれば、専門医は少数で済みます。

しいのが現状です。各科に幅広い領域を診られる総合診療医がいれば、専門医は少数で済みます。

 しかし総合診療医が一人前に育つのに10年かかると考えた場合、2025年問題に対応しきれるかどうかは疑問です。たとえば現在開業している先生たちの中で「自分はこの分野が弱いので勉強したい」と思う先生がいれば、当院で勉強してもらえるシステムの構築も考えています。開業医の先生はこれまでの経験もあり、素地もあるので短期間で習得可能です。そうなれば地域全体で包括的に対応できる医師がだんだんと増えてきます。

 今後は病院だけ、診療所だけで患者さんをすべて診るのはむつかしく、在宅で診ざるを得ない状況が多くなり、その準備が急務です。新機構は、これにも貢献しなければなりません。4月から全国に機構の病院が57か所でき、九州管内にも12の病院があります。距離が離れていて、今すぐに連携を密に取るのは困難ですが、研修に出すなどしてお互いに協力しあっていくつもりです。

―地方での医師不足が深刻です。解決策はありますか。

 私の提案は定年後の医師の積極活用です。今は70歳を過ぎても元気な人がたくさんいます。

 長い経験と技量のある医師が引退してしまうのは医療界にとって大きな損失です。定年した医師は子育ても終わり、ある程度自由に動けますので、そのような方を積極的に活用するシステムを作ってはどうでしょうか。

 地方の医師不足は、東京など大都市に医師が集中していることも要因です。乱暴かもしれませんが、地方の給料を大都市並みか、それ以上にしてはどうでしょうか。地方に仕事がないのであれば雇用を創出する取り組みが必要です。医療界も社会全体も、今のままでは都市部と地方の格差は広がるばかりです。

 経営がうまくいっていない地方の病院は総じて人手不足です。人数が少なければ少ないほど現場に負荷がかかり、体を壊す人や辞める人が出てきますので、何らかの対策を講じる必要があるでしょう。

―これからの医師に求めるものは。

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 当院は急性期病院です。有り難いことに、医師も忙しいのをいとわない人材が集まってくれています。私が医師に求めるのは「常識」、「誠実さ」、「仕事への誇り」です。患者さんに頼りにされる職業なので、奉仕の精神、人を思いやる気持ちを忘れないでほしいですね。

 当然ですが、地域医療の充実には、地域の病院や施設との協力が必須で、連携が有機的に機能する必要があり、お互いの立場を尊重した対応が必要です。そのためのコミュニケーション能力もこれからは重要です。

 もともと医師はいかに患者さんに信頼されるかが大事なので、第一印象を大事にしなければなりません。自信がなさそうだったり、不快感を与える身だしなみをしていると最初からハンデがあるわけです。「この医者はちょっと」と思われると、説明にも疑問を持たれます。医療以外にも関心を持ち、人格を磨いてほしいですね。

 最近は人と接するのが苦手な医師が増えています。ネット上の人付き合いに楽しみを見出していては医師は務まりません。生身の人間に真正面からコミュニケーションを取る必要があります。患者さんは高齢者も多く、医師より人生経験が長い人がほとんどなので、相手に敬意を持って接しなければいけません。それも医師の資質として求められます。医師は人を好きにならないとできない仕事です。


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