地方独立行政法人 くらて病院 理事長・病院長 八代 晃
くらて病院は昭和40年、元三菱新入鉱業所総合病院を鞍手町が継承し、鞍手町国民健康保険鞍手町立病院として57床で発足。昨年度から独立行政法人化し、地方独立行政法人くらて病院へと経営移行した。
―病院の特徴は。
地域密着型の病院で、内科、外科、整形外科、眼科、耳鼻科、泌尿器科、リハビリテーション科を持ち、一般病床122床、回復期リハビリテーション病棟40床、療養型病床60床を有するケアミックス型の病院です。また、老健施設の「鞍寿の里」(60床)を併設しています。高齢者が多い地域なので、ケアミックスにすることで、急性期から慢性期、長期療養までカバーしています。
―今後の取り組みについて。
新病院を建設する構想を練っています。現在の体制を維持しつつ、建設の準備を開始しました。5か年計画を立てていて、最初の3年で設計、場所などを決め、その後、着工に入る予定です。具体的な計画はまだこれからですが、今後多くの時間を割き、力を入れていく予定です。
新病院でもケアミックスは維持しますが、急性期病床の診療を充実させたいと考えています。鞍手地区の住民だけでなく、近隣地域からも積極的に受け入れていきたいと思っています。
さらに常勤医師を獲得できれば、高齢者に必要な泌尿器科、耳鼻科、眼科を増設したいとも考えています。
新病院ができて診療科が増えると常勤医師の数も増えるのではと期待しています。医療の質を上げることで医師、看護師、コメディカルのスタッフを確保し、病院のクオリティーを高めていくことを目指しています。
―健康教室を定期的に行なっているそうですね。
年に数回(平成25年度は8回)行なっていて地域の健康増進に寄与できているのではないかと考えています。また鞍手町が開催している健康フェスタにも協力しており、無料でエコー検査をして、異常が見つかれば病院で検査を受けることをおすすめしています。
鞍手町唯一の入院施設なので、地域住民から信頼されていると自負しています。
―鞍寿の里について。
老健施設が病院から離れた場所にあると、夜間に医師が当直しておらず、看護師が対応しますが、病院に運ばれてきた時には症状が悪化しています。そうなると治療に時間がかかるし、費用もかかり、患者さんの負担になります。
鞍寿の里は病院と併設されているので、24時間対応が可能です。入所者にとっては安心できる環境だと思います。病院に当直の医師がいるので、具合が悪くなっても検査と診療が速やかに行なえます。必要であれば入院も可能です。
鞍寿の里では、入所サービス・短期入所サービス・通所サービスを行っており、利用者の状態に合わせたサービスを提供しています。
―職員に常々言っていることはありますか。
「夢のある職場にしよう」と言っています。職員全員がプライドを持って働ける職場にするのが願いです。
その結果、チームワークが向上し医療のクオリティーが上がります。
―若い医師へのメッセージをお願いします。
多くの診療科があるので、自分に合った科を選択してほしいと思っています。モチベーションを高めながら、楽しんで仕事をすることが大事なので、慎重に選択してほしいですね。選択を間違うと後悔します。「好きこそものの上手なれ」で自分に合った科で人生を捧げられることが幸福につながると考えています。
現在、外科離れが深刻な状況です。実際に働いてみないと過酷さが分からないかもしれませんが、モチベーションを高く持ち、厳しい環境に身を置くことも大事ではないかと思います。