西日本旅客鉄道の三原駅は今年開業120周年。昭和50年からは山陽新幹線の停車駅になった。その三原駅から三原港に向かう短い通りの中に、菓子屋のゑびす家はある。桑田さんの祖父が昭和10年に大阪で創業し、戦争が始まる頃三原に移った。
「大学を出た平成元年から働いています。当時はバブル経済の真っただ中で、高い商品から売れる時代でした。土産物を売っていると景気の変動をよく感じます」。
三原は企業城下町としての側面も持ち、以前は出張で訪れる人が多かった。また西瀬戸自動車道(しまなみ海道)の開通前は、三原港から多くの船が出ていた。
「今は観光のお客様が多いですね。昭和60年に三原市の観光協会がタコを名物にすると決めましたので、私たちも、タコ入りもみじ饅頭などのお菓子を開発しています。特に人気があるのが、15年ほど前から売り出したタコ入りのおせんべい、たこせんです。日本中から注文が来ます」。
ゑびす家の直営店だけでなく、パーキングエリアでも買える。そこでいつも買う客が、桑田さんの顔を見てみたいと来たこともある。
「これからもタコ入りのお菓子で三原をアピールします。おいしいお菓子を作ることが、地域への貢献になると考えています」。
広島県三原市城町1-8-2 TEL:0848(64)8739。