医療・福祉施設を中心とした町づくりを

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医療法人社団社会福祉法人 松涛会 理事長  斎藤 正樹

1950 山口医学専門学校卒業 1952 山口医学専門学校第一内科入局 1954 山口赤十字総合病院内科 1960 斎藤内科クリニック開業 1981 安岡病院設立 1983 医療法人社団松涛会設立 1986 特別養護老人ホームはまゆう苑開設1959 学位授与(山口大学第二内科)

 松涛会グループは昭和35年に下関市彦島で、「斎藤内科クリニック」を開院。その後、下関市内で病院や診療所をコアにした医療・福祉サービスを行ない、現在、法人全体で6拠点46事業所を運営している(医療が3拠点26事業所、福祉施設が3拠点20事業所)。職員数は千名を超え、各拠点・事業所がお互いに連携を密にしながらサービス提供を行なっている。インタビューは下関市横野町の安岡病院で行なった。

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医療法人社団社会福祉法人 松涛会 理事長  斎藤 正樹

 安岡病院は昭和56年に開院しました。当時、大型の病院だったため、この地区の病院や診療所の先生たちが結束して建設に反対しました。銀行に圧力をかけられたので、高い金利で融資を受けて開業しました。開業してからは全くトラブルもなく、建設に反対していた病院からも次第に患者さんが送られてくるようになりました。

 高齢者の増加に伴い、医療や福祉に問題が生じています。昭和30年、高齢者が全人口に占める割合は5%でした。しかし平成37年には30%を超えます。曲線で見ると右肩上がりです。少子高齢化になって日本の生産性が下がってくることが予想されます。高齢者の疾患の特徴は、なかなか治りにくく、慢性化しやすい。そのため治療よりも看護、介護が主体になってきますので、厚労省は在宅への移行を進めています。

 下関市に急性期病院が4つあり、在院日数が約3週間です。慢性期病院の場合は3か月で退院させなければなりません。高齢者が在宅に戻れたらいいですが、介護など、なかなかむつかしい問題があります。

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 戦前は自宅で8割、病院で2割の人が亡くなっていました。現在は逆になって自宅で2割、病院で8割の人が亡くなっています。在宅の流れが進んでいけば、この割合は変化してくると思います。

 法人内に回復期病棟から長期療養病棟、在宅医療、緩和ケア病棟までと段階に応じた施設がそろっているので、超高齢化社会のニーズに応えられると自負しています。

 高齢者が気を付けなければならない疾患が3つ。認知症、がん、循環器です。昭和22年当時は人生50年の時代でした。脳細胞はまだ元気なのですが、、抗生物質がなく、認知症になる前に亡くなっていました。でも今は、65歳以上の人は2人に1人がんにかかります。

 高齢者が来院したら、がんを疑うのが当然ですが、今の医師は考えていない人が多いですね。また、人間の細胞を養うのは血液ですから、循環器の病気にも気をつけなければなりません。年齢を経ていくごとに老化していって脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、大動脈瘤などのリスクを高めます。

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松涛会の中心である安岡病院。

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小規模多機能型居宅介護「くるみの家」(上)とケアハウス「オリーブ」(下)(3月27 日撮影)

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 下関市彦島にフロイデ彦島という複合型の福祉施設があります。フロイデの名称は、ベートーベンの第九にもある「歓喜」から付けています。入居者の人たちに喜びに満ちた人生を過ごしてもらいたいと思っています。福祉施設としては日本で初めて建築賞をいただきました。デザイン面、内装などが評価されたのだと感じています。

 来年1月に、国道191号線沿いに老人保健施設コスモスを新築移転する予定で、現在工事中です。「在宅医療・介護保険相談センター」に市道をはさんで隣接します。

 老人保健施設コスモスは地域包括ケアシステムの拠点として在宅復帰と在宅ケア支援を最大限に発揮できる場所で、地域住民の期待に応えられると考えています。

 この地区にはあまり飲食店がありませんので、老人保健施設コスモスの隣にレストランも造る予定です。地域住民のニーズに合っていると考えています。近くにフィットネスクラブも作りますから、ロコモティブシンドロームの予防にも一役買えるのではないかと思います。

 武久町にサービス付き高齢者向け住宅の「ケアタウン山の田」という施設があります。周辺にはマンションやアパートがとても多い地区で、コンビニがなかったので、隣にセブンイレブンを併設しました。町の人も喜ぶし、24時間電燈が付いているので防犯にもなります。これからも医療施設を中心とした街づくりを推進しています。

 これからの医療・福祉施設は複合型が望ましいと思います。退院後、在宅に戻れない人のためにそれぞれの経済状況や病状に合った施設を選択でき、住み慣れた地域で最期まで過ごせるのが理想だと考えています。

 今から約30年前に妻と一緒にヨーロッパの福祉施設を見学しました。その時、厚生労働省の人から「これからは福祉の時代になります。医療だけでは将来行き詰りますよ」と言われました。ヨーロッパの福祉施設は地域密着型で、地域住民も一緒にいろいろな行事を福祉施設で開催していました。我々もヨーロッパを参考に、これからも地域住民の健康に貢献していきたいと思っています。

 私は、いつも7時半から8時の間には病院に来るようにしています。廊下やトイレを掃除している外注の人たちや職員に「おはようございます」と大きな声であいさつをしています。私が率先して相手より先にあいさつしているので、みなさん喜んでくれます。


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