「おやじの弁当」を思い出して

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医療法人誠志会 砥部病院 院長/砥部病院ケアサービス株式会社 代表取締役社長 中城 敏

1986愛媛大学卒 同大学大学院博士課程形態系専攻入学 1990米国オハイオ州クリーブランドケースウェスタンリザーブ大学神経科学部門留学 1993愛媛大学医学部附属病院医員 1994西条中央病院内科勤務 1996興生総合病院内科勤務 1998白龍湖病院内科医長 2000砥部病院院長

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 誠志会では、砥部病院を中心にして、有料老人ホームや高齢者住宅を展開しています。一般的な老人ホームは、高い終身利用料金を払っても、病気になれば退去しなければなりません。病院が隣接していれば、認知症などの病気になっても退去することなく、施設にいながら入院しているのと同じような治療を受けることができます。

 施設を見ると、この人は介護保険で、この人は医療保険でと簡単に割り切れない人がたくさんいます。介護保険の施設でぎりぎりまで過ごし、最後の最後に救急車で急性期病院に運ばれる、という後手にまわる治療だけは何とか改善しなければいけません。法人内のすべての施設を渡り廊下でつなぎ、医療・介護・福祉の一体化した理想的な複合施設を作ることが、私の夢です。そのためには、病院自体をしっかりしたものにしなければなりません。「砥部病院のブランド力を磨くこと」に今全力です。

 現在、砥部病院にはたくさんの高齢者が入院されています。最期まで希望を持って生きていただくために、私たちができるたった1つのことは「私たちがあなたと共にいますよ」と患者さんに言葉や態度で伝え「自分は決してひとりではない」と思っていただくことです。

 そして人間としてのかかわり合いを大切にして、誰ひとり宙に浮くことのない病院造りに今後も努力していきたいと思います。

 昨年12月に当院の敷地内に介護付有料老人ホーム「To│ be(トゥービー)」と住宅型有料老人ホーム「モンレーヴ砥部」をオープンしました。病院が隣接しているので、医療度が高い人も安心して入居できます。また認知症疾患医療センター専門医による診察を受けることができるので、認知症の人も穏やかに過ごすことが出来ます。

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昨年12月、砥部病院の敷地内に介護付有料老人ホーム「To─be(トゥービー)」と住宅型有料老人ホーム「モンレーヴ砥部」を作った。2つの施設は、同一の建物の中にある。中城院長が考える「医療・介護・福祉の一体化」を実現させるための施設。

 砥部病院は、ヘルパーの仕事をしながら、准看護師の免許を修得する人をたくさん育てています。資格を取るための学費、入学金は奨学金として病院側が出し、資格を取ってから4年働けばお金は返さなくてよいということにしています。

 どの病院も抱えている看護師不足は「おやじの弁当」で解消できる可能性があります。「おやじの弁当」とは、中條高徳アサヒビール名誉顧問が紹介した逸話です。

 樋口清之教授(国学院大学・故人)の友人に、貧乏に耐えて勉学にひたむきに努める人がいたそうです。彼はある日、母の作る父の弁当を間違えて持って行き、それが自分のものと比べて大変に粗末だったことを知ります。弁当の内容を1番よく知っている両親は一切黙して語らず、肉体労働をしている親が子供の分量の半分で、おかずのない弁当を持っていく。その感動が勉学の決意になり、涙しながら両親の期待を裏切るまいと心に誓ったということです。

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中城院長の趣味は海釣り。砥部の松方弘樹の異名を持つとのこと。

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済美高校野球部の健康診断を担当しており、壮行会ではスピーチもした。写真は安楽智大投手と。

 感動した私は、正看護師学校へ通っている学生に、この話をしました。

 「君たちが看護学校へ行っている間の仕事を文句一つ言わず引き受けて働いてくれているのは、ずっと昔から砥部病院に居る先輩看護師さんたちです。君たちが実習に入ると、また仕事の量が増えるのに、これまた文句一つ言わないで、あなた方を笑顔で送り出しています。あなた方、学生さんは、こうして昔から砥部病院で働いている看護師さんたちの「おやじの弁当」を食べながら、正看護師の免許を取ることができたということを自覚していますか。自分たちが勉強出来たのは、多くの他の看護師さんたちが、自分の仕事をカバーしてくれたからであるという思いを大切にして下さい。同僚の恩を忘れ、恩に報いる気持ちの無い人に決して成功は訪れません」と伝えました。私の気持ちは通じていると思います。

 私の人生のテーマは「見事な生き様をした人は、見事な死に様が出来る」です。見事な生き様をする人は「ありがとう」の言葉に包まれて死ぬことが出来ます。そのことが最近になって分かってきました。


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