ふくおか在宅ホスピスをすすめる会(二ノ坂保喜代表)と福岡県の主催する、在宅ホスピスフェスタ2014が3月21日、アクロス福岡で開かれた。今年で7回目。在宅医療や在宅ホスピスに関わる医療者や介護者、行政、ボランティア、業者など350人が集まった。
主催者を代表して世話人の矢津剛医師(矢津内科消化器科クリニック理事長=行橋市)が、「誰でも家に帰りたい。それが実現できることをフェスタで実感してほしい」とあいさつ。福岡県保険医療介護部医療指導課の大森徹課長は「在宅医療を地域で支える取り組みを平成21年度から行なっている。住み慣れた場所で療養でき、穏やかに最期が迎えられる福岡県でありたい」と話した。
セミナーでは福岡県医療指導課在宅医療係の中野聡氏が福岡県の取組みを紹介、㈲介護サービスいちばんの豆田美和子管理者は訪問看護の役割、にのさかクリニックの金崎美穂緩和ケア認定看護師は、イギリスの緩和ケアから学ぶべき事柄について講演した。斎藤医院の斎藤如由院長は末期がん患者症状緩和について述べた。
壁面や柱を利用して、ポスターセッションが20か所設けられた。展示した団体は、福岡県医療指導課、浜の町病院、にのさかクリニック、バングラデシュと手をつなぐ会、訪問看護ステーションはな、在宅ホスピスボランティアの会「手と手」、宗像医師会むーみんネット、在宅ホスピスをすすめる会事務局、那珂川病院、斉藤病院、NPO結の会、矢津クリニック、訪問看護ステーションすいせん、小倉記念病院、北九州ホスピスの会、ケアプランセンターそら、ケアリング、松口循環器科内科、福岡ホスピスの会、糸島医師会、糸島歯科医師会、市民ホスピスの会。
那珂川病院・原口勝院長の作成した「福岡県の緩和ケア病棟」(12枚)を眺めていた初老の男性は、「福岡県の状況がよく分かる」と話していた。
- 二ノ坂保喜代表のコメント
- 「在宅ホスピスには、それぞれの人にいろいろな物語があり、それと関わることで成り立つ。たくさんの家族が宝物やしあわせを手に入れられるよう、在宅ホスピスの普及に努めたい」。
県と「すすめる会」は昨年度、共催で在宅ホスピスボランティア養成研修を、県内5地区で25回開き、延べ515人の参加があった。在宅ホスピスを語る会は県内8地区で9回開かれ、545人が集まった。
世話人は次のとおり。
二ノ坂保喜、矢津剛、斉藤如由、原口勝、松口武行、立石紀子、薙野和恵、林利津子、片山泰代、深堀邦枝、柴田須磨子、古野たづ子、阿部久美子、今古賀和子、久米祥子、寺町聡子、猿渡京子、小畑麻巳、林和恵、峰平あけみ、平野頼子、川村光代(敬称略)。
―在宅ホスピスフェスタに参加して―
在宅ホスピスボランティアの会 手と手 『副代表 峰平あけみ』
私たちも4度目の参加となり、会の理念「療養されている方、その家族に寄り添い、優しさと笑顔で、その人らしさを支えたい」の思いが詰まったポスター発表になりました。
交流ギャラリーには、福岡県の医療指導課を含めて、23のパネル展示があり、その中でも目を引いたのが栄養士さんコーナーでした。
医師会病院の栄養士さんたちが、在宅療養中の患者さんに栄養指導を行なう新しい取り組みを始めています。患者さんは病状も治療法もいろいろ、「食」に関する副作用も千差万別です。状態に応じて栄養士さんから適切なアドバイスを受けることで、安心して副作用を乗り切ることが出来る。これからは栄養士さんも、在宅ケアチームの一員として大切な役割があると思いました。
パネル展示の福岡県のコーナーでは、福岡県保健福祉環境事務所に設置された在宅医療相談窓口(福岡・嘉穂・鞍手・久留米・北筑後・宗像・遠賀中間・糸島・筑紫・南筑後・京築・田川・粕屋の地域在宅医療支援センター)など地域で支える仕組みが紹介され、在宅医療や在宅緩和ケアについて相談に応じてもらえる窓口があるのを知って心強く感じました。
在宅では、医療・介護の公的サービスや家族の介護力に加え、地域のボランティアなどが手を結び、チームで支えていく必要があります。そのケアチームの輪が広がり、連携して在宅ホスピスの普及に取り組む熱意を感じました。
「在宅緩和ケア」とは、がんなどによる身体のつらさだけでなく、不安や悩みなど、患者さんと家族の痛みや苦しさをできる限り取り除き、住み慣れたご自宅で安心した生活が送れるよう、希望に添ったケアを提供するものです。そのケアを提供して下さる支援センターの存在を知り、在宅で医療を受けながら生活できること、在宅で看取ることができることを多くの方に知っていただきたいと思います。
開催の挨拶のように、「生をうけ、遊び、学び、仕事をして、子を育て...。一人ひとりの歴史がある住み慣れた場所で療養でき、穏やかに最期が迎えられる福岡県でありたい」という在宅ホスピスが実現できればと期待しています。