女性理事長の細やかな視点

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医療法人社団和風会 橋本病院    橋本 康子

1981 名古屋保険衛生大学医学部卒 香川医科大学第一内科教室入局 国立療養所高松病院勤務 1985 米国インディアナ大学腫瘍学研究所勤務 1988 橋本病院勤務 2000 医療法人社団和風会理事長就任  2007 千里リハビリテーション病院開設■社会医療法人徳樹会理事長■社会医療法人福寿会理事長■全国抑制廃止研究会理事■香川県抑制廃止研究会会長■日本慢性期医療協会理事■香川県女医会会長■日本慢性期医療協会常任理事■老人の専門医療を考える会監事

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病室からレストランまでの距離をわざと長く取り、屋外の渡り廊下をゆっくり歩くことにより、心のリフレッシュと歩行のリハビリが自然にできるよう工夫されている。また和風会は橋本病院で得たノウハウを活かし、大阪府箕面市にも、千里リハビリテーション病院を開業した。

 観音寺・三豊地区で早くから回復期リハビリテーション病棟を開設し、高齢化が進む地域のニーズに応えてきた橋本病院。旅館のような病室やレストランなど、入院患者が心地よく過ごせることに、心を砕いている。

 父は、香川県西端の三豊郡豊浜町(現観音寺市)に病院を建て、診療をしていました。しかし病院を新築する際に、三豊郡山本町(現三豊市)に移転してきました。

 当時この地区は人口1万2千人ほどにもかかわらず、ほとんど無医ゾーンでした。診療所の先生が一人おられましたが、高齢で辞められることになり、医療機関がなくなることが決まったんです。そこで私どもの病院が、当時の町長から移転の要請を受けました。ですから移転当初から「地域の人に何が必要か」を常に考えてきました。

 介護保険ができたころ訪問診療に行き、認知症が多いことに気づきました。ちゃんとケアする病院の必要性を感じた私は、当院の精神科病棟を認知症専門の病棟に変えることにしました。開放的な環境で普通に暮らす人達と同じように過ごせる病棟をつくりたいと思ったのです。

 私は呼吸器内科が専門なので、肺炎の高齢者を診る機会が多くあります。2週間ほどで治りますが、来院時は自分の足で来たのに、入院しているあいだに足が弱って、退院時には車椅子で帰られることもありました。その後、訪問診療でお会いするのですが、足は弱ったままで回復せず、おうちの中で寝ているんです。

 肺炎は治ったけれども、以前のような生活はできなくなる。それでは医療としてどうかなと思い、リハビリテーションの専門病棟をつくりました。

 一般病棟でリハビリや認知症の治療をするのは、医療の内容が違うので難しいことです。ケアや治療も別物なんですよね。

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高齢化が進む三豊市の中心部から少しはずれた場所に位置する。回復期リハビリテーション病棟は、リラックスできるように旅館をイメージし、病室は畳敷きになっている。

 認知症の方と一般の方はなかなか一緒にいられません。ケアや看護する側も、やることがいっぱいになって、できないんです。

 ですから、リハビリの病棟は専門の病棟として運営していくべきだと思いました。スタッフも完全に分けています。

 当院は回復期リハビリテーション病棟が89床あり、病床数と同じくらいのPTやOTがいます。マンツーマンで、毎日3時間は専門的リハビリをしています。それくらい濃厚にしないと、目に見えてよくなるということはありません。

 「90歳、100歳のおばあちゃん、おじいちゃんが一日3時間も運動できるんですか」とよく聞かれますが、リハビリは運動だけという考え方は違っています。たとえば寝たきりの方が起き上がるというのもリハビリです。起き上がって倒れずに、座位保持ができる、手や顔が洗える、トイレに行って排泄ができる、食事が口から食べられる、できればお風呂に入れる、着替えができる......。そういった日常の生活を自分でできるようになるというのもリハビリで、それを目標として行ないます。

 病棟の造りにも私なりの思いを込めています。認知症やリハビリで入院される方のほとんどが長期入院です。患者さんは、病気になったり、命は助かったけれどまともに歩けなかったりと、悩み落ち込んでしまいます。少しでも落ち着いた状態でいられるように、リラックスできる環境をつくる必要があると思います。居心地がよくて食べ物がおいしければ、頑張ってリハビリしようと思いますよね。なるべくそこを目指しています。たとえば、畳やたんすなど自分の家にありそうなものに囲まれていると、すごく落ち着くと思うんです。

 リハビリテーションの専門病院として何が必要なのかを常に考える病院でありたいですね。

 今後は終末期の医療に取り組もうと考えています。人間はいつか必ず亡くなるので、その時人間の尊厳を持って去る環境を整えたいと思います。


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