第73回福岡大学がんセミナー / 心のエネルギーの取り入れ方

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「心と体は一体」と篠田真理子臨床心理士

悲しみ、恨み、悔やみなどを経験し、安らかで穏やかな気持ちに至るのが「喪の作業」

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 福岡大学病院の福大メディカルホールで2月28日、第73回がんセミナー「緩和ケア―こころの問題について考える―」が開催された。

 講師は福岡大学病院の篠田真理子臨床心理士。およそ60人が参加した。

 篠田氏は冒頭、「臨床心理士とは、心に問題を抱える人を支える『こころの専門家』です」と話し、仕事の内容について「カウンセリング、心理検査、セミナー、研究などを通し、みなさんの心のケアを行なっています」と説明した。

 さらに緩和ケアについて、一般の人は誤解しがちだと語り、「治療の初期から取り入れることができ、治療中、治療後のあらゆるつらさや悩みに対応」「体の痛みだけでなく、他の症状や、心のつらさ、生活上の不安を含め、トータルに対応する」「患者さんだけでなく家族も緩和ケアの対象になる」と説明し、患者と家族が自分らしく過ごせることが緩和ケアの役割だと述べた。

 そして心の問題を考えるメリットについて「心の問題に気付き、正しいケアをすることで体の症状が緩和される」「心の変化を理解しておくことが安定につながる」と説明、自分の感情を受け入れ、適切な心のケアをすることが重要だと語った。

 また篠田氏は、失ったものに対する、悲しみ、恨み、悔やみなどの感情を体験し、悩み抜き、初めて穏やかで安らかな気持ちにたどりつけるのが「喪の作業」だと説明した。

 最後に「うつ状態の人は、ものごとに敏感になる。心が和らぐこと(会話、気楽に読める本、好きなテレビ番組、食べたいものを食べる、睡眠など)を取り入れ、心のエネルギーを補充してください」とアドバイスした。

 会場から「集団療法と個人療法の治療選択の違いについて」の質問があり、篠田氏は「集団療法は、同じ悩みを抱えている人と横のつながりができ、いろいろな考え方を取り入れられることがメリットだが、人が集まると、合う合わないの問題が出てきます。また1人だけが発言し、ほかの人は何も言えなくなる状態にならないよう留意しています。集団の中で過ごすのは、ある程度、状態がよくないといけないので、集団療法、個人療法の選択は、基本的に希望に沿いますが、状態が悪い人には個人療法をおすすめします」と答えた。

 また「臨床心理士は医師の指示のもとでしか動けないのか」との質問には、「医療の現場ではそうすることが多いが、カウンセリングだけ受けている人もいる」と答え、「精神科のクリニックで、薬を処方されていないが、カウンセリングは継続している患者さんがいる。その場合、医師の了解を得るのが大事だが、臨床心理士だけに任せれば大丈夫と判断されれば、患者さんと二人きりでカウンセリングをすることが可能です」と答えた。

 「カウンセリングを受けられるのは福大病院に入院中の患者だけか」との質問もあり、篠田氏は「入院中に限らず、福大病院で緩和ケアを受けていた人で、退院して外来通院になった人も希望があればカウンセリングを行ないます」と答えた。

 次回74回目は3月28日午後1時から同会場で、「抗がん剤の副作用対策」をテーマに薬剤部の柿本秀樹氏が講演する。入場自由で参加無料。


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