鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 人間環境学講座 糖尿病・内分泌内科学
鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 血液・内分泌・糖尿病センター 糖尿病・内分泌内科学
教授 西尾 善彦
1979 滋賀県立膳所高等学校卒 1985 滋賀医科大学卒 1989 同大学院修了 市立柏原病院内科勤務 1991 琵琶湖大橋病院内科勤務 1992 米国ハーバード大学医学部附属ジョスリン糖尿病研究所血管生物学部門研究員 1994 滋賀医科大学第三内科医員 1995 同第三内科助手 2006 同内分泌代謝内科講師 2010 同准教授 2011 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科糖尿病・内分泌科学教授。■平成11 年度日本心血管内分泌代謝学会若手研究奨励賞 平成16 年度日本糖尿病合併症学会若手研究奨励賞。■日本内科学会認定医・指導医・評議員・「Internal Medicine」編集委員 日本糖尿病学会専門医・指導医・学術評議員・「糖尿病」編集委員 日本内分泌学会専門医・指導医 日本動脈硬化学会専門医・学術評議員・「Journal Atherosclerosis Thrombosis」編集委員。
―初代の教授ですね。
滋賀医科大学から平成23年の11月に赴任しました。それまで鹿児島大学では、いろいろな内科系教室が糖尿病や内分泌を診ていました。私の専門は糖尿病の合併症です。
新しい教室ですが、ゼロからのスタートではなく、多くの教室の先生に集まっていただきました。実際に稼働し始めたのが、24年の4月からです。
教室の近くには呼吸器内科と呼吸器外科があり、どちらも新しい教室で、初代の教授が集まっている区画です。新しい教室は前任者から引き継ぐものがないという、良い面も悪い面もあり、皆さんそれぞれに工夫とご苦労があると思いますよ。
私の教室は「寄せ集め」とも言えますが、内科系教室の良いところを持ち寄った合同チームでもあります。
市中には各教室の出身で、糖尿病・内分泌を診られる先生もたくさんおられ、皆さん協力的で助かっています。糖尿病を専門にやる科ができることを喜ばれたようです。派閥意識がなく、私も最初から好意的に受け入れてもらえました。
出身教室が違う先生が年に3回ほど集まって、「なんでんカンファレンス」という名前の研究会も開いています。症例を出し合って、うまくいかなかった点などを検討しており、鹿児島市内の糖尿病を扱う主立った病院にはほぼ参加していただいています。こんなことは、他県ではなかなかないことじゃないかなと思います。
新しく組織した同門会は「患者さんのために」という気持ちがそれぞれにありますし、皆さん熱心で協力的です。県内がまとまっていますから、すごく心強いですね。鹿児島でなければこんなにスムーズだったかどうかは自信がないところです。
―九州に住んだ感想は。
こちらにも仲良くしていただいている先生は多く、福岡の学会にはよく顔を出していました。
でも鹿児島の冬がこんなに過ごしやすいとは知りませんでした。私のいた滋賀や京都は寒い地域ですから驚きでした。こちらに赴任してからまだ雪は1回も見ていません。おいしいものも多いし、本当に良いところですね。
―火山灰が気になりますか。
よっぽど大変なんだろうと覚悟して来ました。
妻は呼吸器疾患を持っているので、灰をすごく心配したのですが、影響はありませんでした。
夏の一時期は大変ですが、冬のあいだは降りませんし、それほどの苦労はないですね。
ゆくゆくは私も学会や研究会などを通じて、日本中の糖尿病を専門にする先生方に、鹿児島の魅力を紹介できたらよいなと考えています。温泉もたくさんありますから、息抜きもできる良い土地だと思います。
―教授になっての感想は。
教授は大変なんだなと分かりました。自分で決めることができるのは、自由がありますが責任もあります。院生と実験などをする時間は減りましたが、医師を育てる責任は逆に強くなりました。
今は診療や研究だけでなく、教室の運営をする必要があります。市中病院の先生や製薬メーカーの方とお話しする時間が増えましたし、県内の患者さん全体を、より良い状態で診療できる体制を考えることが、大事な仕事の一つになりました。
忙しいのは以前からですが、内容が違ってきたと言えます。指示を受けていたころとは全然違いますね。ただ大変なだけではなく、やりがいも大きいです。
―教育者としての考えを聞かせてください。
私自身は研究者になろうと思って大学を卒業したわけではありませんでした。治療する上で最初は、一般的な、マニュアル的な診療を覚える必要があるわけですが、習熟していくうちに自分なりの工夫や新しい発見をしたのです。そのような開拓をする能力は、若い時に覚えなければ身につきにくいのではないでしょうか。鹿児島大学に入学した若い人々には、そういう能力を習得して欲しいと考えています。ルーチンを適切にこなすだけではなく、自分なりのアイデアを出せる人を育てたいと考えています。
そのためには、体制と環境を作らなければなりません。なかなかむつかしいことですが、それを目指して教室作りをしていきたいと考えています。
たくさんの若い先生に入ってきていただいて、県内の糖尿病診療の実務を担ってほしい。糖尿病診療のリーダーになってくれる医師や、新しい薬や治療法を開発する医師を、一人でも多く輩出したいですね。
教室には鹿児島大学の出身者に限らず、多くの人に集まっていただきたいと思います。住みよい土地ですから、他県からもぜひ来ていただきたいと考えています。
―趣味はありますか。
野球を学生時代にやっていました。医局にチームがありますが、最近は肩が上がらなくなってしまい、もっぱら観戦です。囲碁も好きですが、マイナーな趣味なのか、なかなか相手がいません。募集中です。
オーディオもいいですね。いじるのも聴くのも好きで、一番持っているのはジャズでしょうか。最近ではハイレゾ配信という、高解像度のデジタル配信技術で、簡単に良い音が出ます。レコードにも興味があるんですが、高くつくんですよ。