高度急性期に特化して地域を支えていく

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社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院 院長 伊藤 翼

伊藤翼(つよし)=長崎県美津島町(対馬)出身。九大医学部卒。68 年九大医学部附属病院外科研修医。75 年アメリカ合衆国医師免許取得、76 年筑波大外科講師、82 年佐賀医科大外科学講師、85 年同大学外科学教授、06 年同大附属病院副病院長。04 年第34 回日本心臓血管外科学会会長。趣味は野球、テニス、ゴルフ。

―昨年50床ほど増やしましたね。

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社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院 院長 伊藤 翼

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 建物に余裕があったものですから回復リハ病床にしたんです。当院は特に超急性期のリハが必要ですからね。

 手術前からリハビリをやり、手術後もベッドサイドですぐに始めます。だからリハ職員が100人くらいいます。それに加えて回復リハをやるわけです。池友会の蒲池理事長は昭和40年代、下関市に外科病院を開設された当時から「救急患者は絶対に断らない」、「早く家に帰ってもらうためにはリハが必要」と言われていました。

 2年前には、急増している動脈硬化性血管疾患に対して、HNVC(心臓・脳・血管病センター)を開設しました。関連診療科が一丸となって血管病対策チームを編成している、最先端医療技術センターです。大学病院本院に準ずるDPC病院Ⅱ群に選定されたことも合わせ、地域社会に貢献していると自負しています。

―2014年はどんな年になりますか。

 DPC病院Ⅱ群を維持し、発展させることが第一です。今後の全国的な方向として、高度急性期の35万床が、18万床に減るんです。看護師確保などの事情で、国が本当の高度急性期病院を絞り込む作業をやっていて、家に帰すためにも回復リハが重要視されてきています。そしてそこに、訪問介護や訪問看護の話が、近い将来として出てきているわけです。

 しかし現実には、家に帰っても地域で支え合う文化が弱まっていますから、そこをどうするかの方策として、たとえば東区は在宅ネットワークを作って、みんなで支え合う仕組みを作ろうとしています。お金がある人はサ高住に入ってもらうことも含め、そのような方向に進むようです。

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 和白病院は救急医療で大きくなった病院ですから、それを地域のニーズとして続け、重篤で手のかかるような救急患者や重症の患者さんをいかに効率よく助けあげていくかが、ぼくらの使命だと思っているんですよ。難易度の高い手術もどんどんやっていきたい。

 だから老健施設だとか、サ高住というようなことをぼくらは今のところ考えておらず、それはほかのだれかがやってくれることです。ただし、回復リハに関してはしっかりやって家に帰ってもらおうと思っていますから、料理の作り方まで教えるようなことまでやります。

 院内の体制固めとして、「患者さま満足度調査」を行ないました。入院患者311人と外来1千人、そして職員から集めたアンケートを分析しますと、まず職員については、仕事への満足感よりも、やりがいを感じている人が多いんです。それをもっともっと伸ばしたい。そのあと医師の人事評価制度の設計につなげていきたいですね。入院、外来患者の評価はともに高く、職員のやりがいの結果だともいえます。

―現場にやりがいが生まれる理由は。

 やはり患者さんが治っていくことでしょうね。ほかにも、ミーティングをよくやることや、上司への信頼度が高いという調査結果も出ています。

―カンボジアへの支援は。

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上の写真はHNVC(心臓・脳・血管センター)。「頭から足の先まで」をモットーに、複数の診療科が一つのチームを作り、総合的に血管病の診断と治療にあたるシステムを作り出した。

 昨年もうちから8人、グループ全体で20人以上の研修医が行って、小児病院のほかに、チームを組んで無医村を訪問したりもしています。知人の紹介でカンボジアからも、当院に5人のビジネスマンがPET検診に来たり、カンボジア人医師や看護部長も研修に訪れたりして交流が深まっています。

 ポルポトの動乱で医師がたくさん殺されましたが、ようやく医療の面で自立のきざしが見えてきました。でも支援はもう少し続ける必要があるでしょうね。ほかにも米国スタンフォードやクリーブランドクリニックでの研修も続けており、若い医師にやる気を持ってもらうきっかけになっています。

―ドクヘリの運用状

 「ホワイトバード」は2008年6月の運行開始以来、私の出身地である対馬を取ってみても、およそ200人の救急患者を当院に搬送してきました。内訳は上対馬病院41%、中対馬病院38%、対馬いづはら病院21%です。今日もくも膜下出血で1人運ばれてきました。

 ほとんどは当院に運ばれてきます。子供が福岡で働いている高齢者が多いですから、見舞いに来やすいんですよ。県や国の補助なしに無料でやっていて、対馬のためにようやく貢献できるようになったというのが実感としてあります。(聞き手=川本)


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