この土地で開業した理由 香川県観音寺市

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医療法人ブルースカイ 松井病院 理事長
東京脳神経センター 理事長  松井 孝嘉

1967 年東京大学医学部卒業。東大脳神経外科に入局。野球の「耳付きヘルメット」を開発。毎年数人あったデッドボール死をゼロにした。その後、ニューヨーク、アルバートアインシュタイン医科大学にて脳腫瘍の研究。さらに、ワシントン、ジョージタウン大学にて、世界初の全身用CTスキャンの開発に従事。日本へのCT導入・普及に中心となって尽力。画像診断で日本が世界一の普及を達成し、日本人の脳卒中死の激減に多大の貢献をした。1978 年、「頚筋症候群」を発見。その後、この治療法の研究に苦心をし、27 年後の2005 年、治療法を完成させた。これが世界で初めての自律神経失調症の治療法となり、不定愁訴が完治可能となった。

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 CTスキャナーを日本に紹介し、脳卒中死の激減に貢献。また、「首こり病」とも呼ばれる頚性神経筋症候群を発見したことでも知られる。生まれ育った香川県で松井病院、東京都南区虎ノ門に東京脳神経センターを開院し、両施設の理事長を務める。地域はもとより、全国、そして海外から訪れる患者は後を絶たない。

 私が脳神経外科を研究しようと思ったのは、脳が最も未知にあふれた分野だと思ったからです。移植の技術が進んでも、脳の移植はありえません。脳はその人だけのものであり、一番大事な臓器です。

 脳の分野のなかでも、脳神経外科は原因を解明してしっかり治療ができると思い、この道に進みました。

 未知な分野に惹かれるのは、新しいものを創造したり、誰も思いつかないことを思いついてどんどん進めたりすることが私の得意分野だからです。

 昔大学の恩師に「東大でアイデアにかけては君の右に出る人間はいないよ」と言われたことがあります。実際に、私のアイデアがCTスキャナーの開発に寄与した経験も大きいと思います。

画像診断の開発と普及に尽力

 アメリカへ留学した際、世界初の全身が撮れるCTスキャナーの開発に携わりました。

 画像診断の最先端をいく開発チームで最年少でしたが、そこでもいろいろなアイデアを出しました。

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これまでに出版した本は、20冊以上にのぼる。

 開発だけではなく、日本への普及にも貢献しました。日本で最初に導入されたのは昭和50年、私が東京女子医大の教授に紹介して導入に至りました。2号機は関東逓信病院、3号機は東京逓信病院へ紹介して入れました。

 さらに日本のメーカーに指導して、CTスキャナーの国産化をすすめるなどした結果、現在日本は保有台数が人口比で世界一となっています。

 以前、日本人の死亡原因の一位は脳卒中で、1年間で十数万の人が亡くなっていました。しかしCTスキャナーが普及したことで、死亡する人が急速に減少しました。

頚性神経筋症候群の発見

 もう一つ、アメリカから帰国して以来30年以上にわたる研究から発見に至った頚性神経筋症候群についてお話ししましょう。

 これは、ムチウチの研究をしていたときに見つかったのですが、そもそも私はムチウチをメインで研究していたわけではありませんでした。ところが、首と頭部の境目に副交感神経センターを発見したことがきっかけで、新しいことが次々と判明してきました。

 最近はパソコンとスマートフォンが普及して、首を痛める患者が急激に増えてきています。それは首を痛めて筋肉が悪くなると副交感神経が働かなくなり、体中にいろいろな症状が出るからです。これらの不定愁訴は、眼科、耳鼻科、循環器、消化器などの症状として出ます。それから整形外科や脳外科の症状、そして精神科の症状、つまり鬱です。

 鬱の症状で恐ろしいのは、自殺の可能性が高まることです。自律神経性の鬱、副交感神経性の鬱ともいいますが、この症状は精神病として治療するのではなく、副交感神経を正常に働かせることが最適な治療法だと私は考えます。これについては、先日も学会で発表しました。

 頚性神経筋症候群が原因と考えられる症状は、現在判明するだけでも17種類あります。研究していけば、まだまだ見つかるかもしれません。

 学会発表は、現在も行なっています。今は首の筋肉の病気についてが主です。

 ネックウォーマーについては、風邪を引きにくくなることがわかりました。風邪薬を飲むより副交感神経センターを温める方がずっと効果があります。神経と筋肉は冷やしてはだめなんです。外傷の炎症がある場合は、筋肉を冷やすことがありますが、神経は冷やしてはいけません。

田園都市構想に協力するため、松井病院を開設

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最新著は、11月12日に発刊された特製ネックウォーマー付き書籍「首こり解消ネックウォーマー」(日本文芸社)。

 昭和63年、ちょうど瀬戸大橋ができた年に、香川県観音寺市に松井病院の前身である松井脳神経外科病院を開業しました。

 香川県丸亀市出身である私が、なぜ観音寺市に病院を建てたかというと、それは、観音寺市出身の大平正芳元首相の存在があったからです。生前、非常にお世話になりまして、親しくしてもらっていました。

 大平元首相が提唱していた田園都市構想というものがあります。それは、日本全国の人口15万人の地域が一つの単位になるという構想なのですが、大平元首相が生まれ育ったこの町のちょうど山で囲まれた部分、つまり観音寺・三豊地区が、人口15万人なのです。だから元首相はこの地域が頭にあったのだろうと私は思います。

 地域にとって一番大事なのは、教育と医療。この2つだと思います。ですから、人口15万人の町の、少なくとも医療については田園都市構想に協力したいという思いから、この地域で開業することにしたのです。

 私はこの地区から脳卒中、寝たきり、ボケをなくす。この3つをスローガンにして脳外科診療に取り組んでいます。

 東京脳神経センターを開業した当時は、ほぼ毎週、東京と香川を往復していましたが、このごろは2週間に1度になりました。

休日は瀬戸内海を航行

 休日など、暇さえあれば海に出ますね。自分で操舵して、笠岡群島から塩飽諸島あたりを回ります。このあたりが瀬戸内海で一番いいところだと思うのです。

 瀬戸内海ほどいい海はありませんよ。外国に行く機会が多いのですが、世界中のどこと比べても、こんなにいい海はありません。島が多く、潮が穏やかで波が立たない。のどかな海です。(聞き手=山下)


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