形成外科の強みを知らせたい

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長崎大学大学院歯薬学総合研究科 形成再建外科学 教授 平野 明喜

ひらの あきよし=長崎市生まれ。1975 長崎大学医学部卒 1986 University Of California, Los Angeles (UCLA) School of Medicine 留学 1987 長崎大学医学部形成外科助手 1990 長崎大学医学部形成外科助教授 2003 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 発生分化機能再建学講座 構造病態形成外科学 教授
■形成外科専門医、熱傷専門医、褥瘡認定師 ■評議員=日本形成外科学会 日本頭蓋顎顔面外科学会(監事) 日本創傷外科学会(理事) 日本熱傷学会 日本口蓋裂学会 日本頭蓋底外科学会 日本再生医療学会 日本褥瘡学会 ■ 専門分野=頭蓋顎顔面外科、顎変形症、唇裂・口蓋裂、頭蓋底外科

 来年2014年4月9日から11日まで、第57回日本形成外科学会総会と学術集会が、長崎ブリックホールなどで開かれる。会長を務める長崎大学の平野明喜教授を訪ね、テーマ「多様性の追求」を中心に聞いた。

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「長崎は歴史的に、いろんなものを受け入れて来たので、どんな人でも受け入れる気質があり、堅苦しく考えない風潮があると思います」と語る平野教授。

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長崎大学病院

―準備の状況は

 形成外科では最も大きな学会であり、演題もかなり集まってくると思っています。せっかく開催するからには、何か特色を出したいので、私なりの工夫をしたいという気持ちはありました。

―どんな工夫がありますか。

 形成外科は、専門領域として広い範囲があり、これまでもそれぞれの会長が興味あるところを重点的に取り上げて開催されてきました。

 形成外科というのは、外科や内科に比べると歴史は浅いこともあって、一般の人には少々理解しにくい診療科と思います。例えば全身の熱傷を治療もしますが、片や美容のような分野をやる人もいます。形成外科にはこの他に唇裂手術や各種の再建外科、あるいは手の外科、褥瘡の手術、糖尿病の足の治療とかが含まれるのですが、何故、それらが形成外科に含まれているのか疑問に思われるでしょうね。

 今回のテーマの「多様性」というのは形成外科に含まれる様々な領域を示しており、学会を通して一般の方々にも形成外科を知っていただきたいので、マスコミ向けのセミナーも開く予定です。

 我々の強みは、例えばどんなところを治すにしても、創傷治癒の専門家として傷をきれいに治すこともできるし、さらに、美容的観点からさらにきれいに再建できるメリットがあるわけです。いろんな領域を経験しているからこそ、総合的にきれいに治せるのではないかと思っています。多様性というのは、みんなバラバラという意味ではなく、いろいろな領域での知識や経験が有機的に結合してさらに良いものを作り出すことを追及したいと思っています。例えば、唇裂も単に変形が見立たないだけでなく、形態的に調和することがより一層変形を目立たせません。手にしても動けばいいというだけではなく、見た目は大事なんですし、マイクロサージャリーの技術もあるから、それも手の治療に応用が利くことをアピールしたいというところが、今回のテーマの持つ意味です。

―いろいろ知っておくことは記者にも大切です。

 そうですね。何かを見た時に、いろんな視点で考えられますから、治療の分野にも役に立ちます。

 形成外科で取り扱う領域はいろいろな診療科とオーバーラップしています。例えば手の外科は整形外科、唇裂は歯科口腔外科、皮膚の腫瘍や褥瘡は皮膚科などです。 したがって、我々の存在価値というのは、ほかの診療科よりも少しでも優れる点を持たねばなりません。このようなこと以外にもチーム医療として他科との連携は非常に多いですよ。形成外科ほどよその診療科と密にチームを組んでいるところは、麻酔科や放射線科みたいな中央診療科として存在しているものは別にして、あまりないと思いますよ。

―なぜこの領域をやろうとしたんですか。

 私はものを作ることに興味がありました。昔は理工系で建築が花形でしたから、そちらに行こうかなと思っていましたが、友達から医学の話を聞いて、それもいいなと思った程度です。

 大学を卒業して最初は脳外科を1年やりました。その時に顔の変形や皮膚トラブルの問題が患者にあり、形成の先生に治してもらったので、脳外科をやる上で形成を勉強しておかなければと思い、それでやってみたら自分の特性と合ったんですね。

―医師の大変さは建築と比べられないのでは。

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 患者さんからよろこばれることと、人の役に立っているという実感が得られ、大きなモチベーションになります。

 それから、建築の話で言うと、医学の中で形成外科というのは、ものを作り出すことなんですよ。欠けているものや足りないもの、生まれつき無いものを作るとかね。時代的にも再生医療などに非常に近いところにいます。ただ、一般的に形成外科のことが知られていないので、そこは頑張りたいですね。

―知られていない理由は。

 今までは機能と形態を天秤にかけていたんです。歩けなければかわいそうな障害者だけれども、顔が変形しているようなことは、命にかかわらないのでまあどうでもよかったんです。でも実際には、ご本人はそれをとても苦にし、生活に支障をきたす人もいるわけです。そういったことへの配慮がなかったんですね。

 かたちの持つハンディキャップというものは多いんです。ほかの人から見たら大したことがなくても、本人はすごく悩んでいることはたくさんあるんです。そういったことへの手助けが出来るのは、すごくやりがいがあることです。

―学会がうまくいったと思う物差しは何ですか。

 まだこれからなのでどうとも言えませんが、やはり、会場でディスカッションがすごく盛り上がり、参加者が帰っていく時に、こんな方法や考え方もあるなと、少しでも触発されたらうれしいですね。

 今は乳房インプラントが保険で認められるようになろうとしていますし、形成外科学会と乳腺外科学会がジョイントして乳房再建の学会も新しく立ちあがりました。予防的乳房摘出についても問い合せが来るんです。最近は遺伝子で診断がつくようになり、今回の学会ではその予防的乳房切除ついて、遺伝学などの立場から講演してもらいます。

―長崎の特徴は出せますか。

 懇親会は、ポスターにあるサンセットマリーナ(長崎市福田)で行ないます。夕日で空模様の変わりゆく様子を楽しんでもらいながら、おいしい食べ物も食べて歓談してほしいですね。


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