10月5日外来管理診療棟 グランドオープン
広島県大竹市 独立行政法人 国立病院機構 広島西医療センター
大竹市の広島西医療センターで10月５日、外来管理診療棟の竣工式が行なわれた。建築物の完成は５月で、外来診療などは５月からすでに行なっていたが、９月に広島県西部保健所の立ち入り検査が済み、この度式典を開いた。広島西医療センターの奥谷卓也院長ほか、入山欣郎大竹市長、眞野勝弘廿日市市長などがテープカットを行ない、病院関係者、工事関係者が集まった。
院内に老朽化した建築物は多いが、一度に建て替えることには困難がある。奥谷院長によると、近年段階的に建て替えが続いており、外来管理診療棟の新築もその一環。病院の前身である旧国立大竹病院時代の建物は取り壊され、現在急速に院内の建築物が一新されているという。敷地面積が３万３千㎡以上と広いこともあり、４階建て程度の建物が多い。
新築された外来管理棟４階の院長室で取材に応じる奥谷院長。新院長室の完成前から院長職にあったが、副院長室をそのまま代用し、旧院長室は使わなかったそうだ。
広島西医療センターを正面から撮影。右の建物が今回竣工した外来管理診療棟。９月からは同棟の中央玄関を使用している。（奥谷院長撮影）広島西医療センターは平成20 年から５年間、研修医のマッチングは100％だという。
５日は竣工式のほか、今回で６回目となる広島西医療センター祭りが開催された。この行事は、奥谷院長が副院長時代に提案した地域との交流会で、毎年10月頃に行なわれる。主催は病院ではなく、院内の有志が業務とは無関係に運営に参加しており、奥谷院長は今も有志の一人。フリーマーケットのほか、神楽や太鼓、ダンスなどの舞台、出店などで賑わった。
また同日より、㈱アンデルセンが病院敷地内にベーカリーを出店した。
同社が病院内に出店するのは初めてのことで、誘致の交渉は奥谷院長が直接担った。病院では、医療とは無関係にパンを地域住民が買いに来ることも歓迎であるという。「良い意味で地域住民が集まる病院にしたい」とは奥谷院長の談。
外来管理診療棟は病院敷地内の正面に位置し、鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造の４階建て。設計は㈱中林建築設計事務所が担当し、施工は㈱鴻池組が請け負った。総病床数440のうち100床がこの建築物内にあり、２階部分と３階部分にそれぞれ50床ずつある。隣の建物の２階に手術室はあり、２階には検査室のほか４床の回復室と外科病棟がある。３階は無菌室３床を含む血液内科など内科系病棟。
１階には中央玄関と総合受付を備え、夜間救急受付と救急処置室を備える。内科、外科、整形外科、耳鼻咽喉科、皮膚科の診療室のほか、薬剤科や、健診センター、喫茶コーナーが配置される。また、従来からは大幅に拡充された外来化学療法室を備える。４階には医局や事務部があり、院長室や副院長室、看護部長室もこの部分にある。特に、医師の職場環境を大幅に向上させたいという奥谷院長の強い要望で、医局は広くし、ボックス状に各員のプライベートな空間を確保した。快適な環境にし過ぎたため、今は「自分の家のようにはするな」と言わねばならなくなったという。
外来管理診療棟の設計の指揮をとったのは、今年４月に退職した田中丈夫前院長。田中前院長は部屋の配色など、細やかなことにまで気を配り、病棟の設計に関与した。外来の壁面は木目調で患者や職員に好評だが、これも田中前院長が選んだもの。
