救急艇で運ばれてくる人もいます

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上天草市立 上天草総合病院 病院長 坂本興美

さかもと たつよし=1977 奈良県立医科大学卒 同精神神経科臨床研修医 1979 豊郷病院精神神経科医員 1986 日本老人福祉財団神戸ゆうゆうの里診療所長 1988 国民健康保険龍ヶ岳町立上天草総合病院内科医員 1995 同副院長 2012 上天草市立上天草総合病院病院長 所属学会=日本内科学会 日本糖尿病学会 日本消化器内視鏡学会

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写真上=八代海をバックに坂本病院長を撮影。遠くに見える島が天草市の御所浦島。院長は島根県の出身で、この病院に勤めるために熊本に移り住んだ。同下=龍ヶ岳町は漁業の町で、病院は港の横にある。離れた地域から救急艇が来ることもあるという。

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 平成16年、大矢野町、松島町、姫戸町、龍ヶ岳町の4つの町が合併して上天草市になった。それに伴い、龍ヶ岳町立上天草総合病院は上天草市立となる。龍ヶ岳町の中心部に建てられ、総病床数は195床。うち46床が療養病床。東日本大震災の際は、福島県に医師を派遣している。

 ここは天草の中でも離れたところです。熊本県に3つある、へき地医療拠点病院のうちの一つです。元々水路で移動していた地域で、山を越えて陸路で近隣と交流する地域ではなかったそうです。天草五橋が出来て、しだいに天草にも陸の流れが整備されていきましたが、ここは最後に道が整備された地域らしいんですよ。

 自治医大出身の先生たちが、熊本県へき地医療医師の会というグループを作っていますが、当院の脇田富雄先生が副会長、石田隼一先生が監事をしているほか、前田幸祐先生が参加しています。

 当院の内科医が中心となって交代で、周囲にある診療所の仕事もしています。私も行きますよ。診療所長はいますが、その方に全部をさせるのは大変ですから。

 当院は旧松島町立の診療所、天草市立の御所浦島診療所、天草市立横浦島診療所の3つをみています。そのほか、病院に併設した上天草市立の老人保健施設や、民間の特養、松島町の診療所の隣にある養護老人ホームに入所している方の健康管理をしています。また内科医が中心となって往診にも出かけ、看取りにも力を入れています。

 ここは漁師町ですが、以前ほどお魚がとれないそうです。だから若い人の仕事がなくて過疎化が進んでいます。ですから、町の行事には病院も協力することにしています。

―ここは私服の若い女性が多いですね。

 当院には看護学校があります。だんだん人が少なくなる地域ですから、すごく意味があると思います。地元の人ももちろんいますが、県外など遠方から来ている人もいます。長崎県から来ている人は比較的多いですね。寮があって、1学年が40人。昭和40年からある准看護学校が、看護学校になったものです。

 授業では基本的に当院の先生たちが教えますが、教えられないことは、地元の開業医の先生や、熊本市内からも来ていただいて教えています。もちろん私も教えています。

 内科の授業は他の内科の先生が出来るので、私は精神科関係の授業を受け持っています。医師になって最初の10年は精神科の仕事をしていましたからね。

 若い人は、一旦は外に出たいもので、地元に残る人はそんなに多くはありません。1割残らない年もありました。それで天草に生活の基盤を持っている方を受け入れようと、社会人入学という制度を始めました。

 地元に根を持つ人に門を開く制度で、別の仕事をしていて看護に興味がある方が対象です。

 それも含めて、最近は看護学校卒業生の2割程度が残ってくれ、今度は9人と聞いています。でも毎年辞める看護師がいますし、病院の規模を考えたら、もう少し増えてくれると良いのですが。

―3階にプールがありますね。

 元々は初代の院長が、子供たちの喘息の入院治療をしていました。親元を離れて、自然の近くで集団生活をしながら喘息を乗り越えられるようにしてあげようという目的です。以前は小児の喘息病棟があって、その子供たちを鍛えるためにプールも作りました。

 しかし時代が変わって薬も効くようになり、喘息を入院で治す時代ではなくなりました。それで小児の喘息病棟はすべて療養病床に転換し、プールの必要性もなくなりました。リハビリテーションで使えればよいのですが、プールの管理は難しいので、なかなかです。

 今は近所の方々に利用券を買っていただいて、使ってもらっています。対応する職員が確保できないので、元気な方だけが対象です。この辺りは海が近いので、泳ぎの名手が多いんですよ。ガラス張りで海が見えるし、とても良いプールで、私も以前は泳いでいました。

毎日泳げるよう常に水を入れていますが、今は温水にしませんし、冬に入る人はほとんどいませんね。この地区の上水は、海の向かいの芦北から来ているので、大事に使わないといけません。ですから水の管理は大変です。なかなかお金がかかります。

―今はどういう疾患を診ますか。

 普通の病院ですが、海が近いので釣り人が来ることが特徴でしょうか。魚の毒で腫れた人を診る機会は他の病院より多いでしょう。釣り針が皮膚に刺さった人も、カエシがあって取れないから、外科の先生が診ます。

 また日本で年間200例も発症しない日本紅斑熱という病気がありますが、これを年間20例以上診ています。これを診ている数は当院が日本でトップです。当院の和田正文先生が研究していますが、イノシシが増えたことと関係しているのではないかと考えています。

 和田先生は地元出身で、以前はまったく見なかったそうです。去年学会でもそう発表しています。


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