浴室はすべて天然温泉 「自分の身内を呼べる病院に」が口ぐせ

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国税局出身の田上理事長に聞く 【特定医療法人成仁会 理事長 田上洋行】

1965 東京国税局板橋税務署 、熊本国税局調査査察部や国税査察官、熊本国税局内など各税務署に勤務 1985 宮崎税務署にて退職し、田上税理士事務所を開業。2005 税理士法人熊本東会計センター設立 ■公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 AFP( 日本FP 協会認定) 特定医療法人成仁会理事長 社会福祉法人成仁会理事(みどりの館)

 成仁会くまもと成仁病院の総病床数は222床。地域住民向けに出張講座を開いたり、院内を開放して健康教室を行なっている。ゲートボールやグランドゴルフ大会も主催する。平成17年からは日本糖尿病学会認定教育施設となり、特に糖尿病に関する啓蒙活動に熱心だ。

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田上理事長(左)とくまもと成仁病院の上原昌哉院長。上原院長は内科医で今年55歳。火・木曜日は訪問診療で、地域のお年寄りの家を回っている。

 私は三代目理事長です。私は医師でも法定相続人でもなく、ここと取引のある税理士でしたから、医療法四十六条の三により、本来理事長になれない。しかし規制緩和でなれるようになった。私は、この緩和によって理事長になった全国第一号です。

 申請当初は医療がビジネス化して、患者さんが困るんじゃないかと、地域の医療審議委員会の一部には危ぶまれました。

 審議委員会の満場一致で認可がおりるということだったのですが、全員の賛成は難しい。しかし厚生省の27歳の課長が、「全員賛成しか認めないというなら、規制を緩和した意味がない」と上申してくれ、認可がおりました。

 彼には「絶対に迷惑はかけないと約束する」と言いました。そして営利を目的としないということで、後に特定医療法人の承認申請をし、平成13年からそうなりました。

 当法人は、昭和52年に80床の老人病院として始まりました。順調に病床数を増やしてきましたが、初代が昭和58年に亡くなり、研修医だった息子さんを呼び戻し、跡を継がせました。私が当法人に税理士として関わるようになったのはこの少しあとです。

 私は医業経営コンサルト協会の第一期生なんです。相続の申告や経営の相談などをみていました。

 当法人は病院のほかに、先駆けて老健施設や訪問看護ステーションをアドバイスしながら作りました。私も借金の保証人でした。

 資金難に苦しみながら20年、二代目は若いのによく頑張ったと思います。しかし体調を崩され、法人は身売りされることになります。葬儀屋に売却する話が半ば決まって、判を押すばかりになっていたのですが、それでは残された職員がかわいそうですから、私どもが買い取って継ぐことにしました。前述の規制緩和により理事長になったのは、平成9年でした。

 当法人は急性期をおろそかにしているわけではありませんが、終末医療や療養、在宅医療に力を入れています。もともと老人病院でスタートしましたからね。老人病棟、老人診療報酬の時代から専門的にやっています。

 当時の若い医師は急性期だけに魅力を感じていましたし、医者探しに苦労しました。また、以前の理事長が久留米大学の出身で、熊本大学との関係もありませんでした。

 状況は熊大出身の上原院長が来てから好転しました。私の先輩税理士が担当していた開業医の後輩が、上原院長です。院長はそこに応援に来ていましたから、ずっと顔を合わせていました。当法人に来てもらってもう10年になります。

 今、常勤で10名の医師がいますが、ほとんどが熊大出身者です。

 熊大出身者が増えると近隣の病院との連携もうまくいきますし、後輩も続いて当法人に来てくれます。また、医療と福祉に関する世間の考え方も変わりましたから、大学にも出入りできるようになりました。

 「自分の身内や、友人の両親を呼べる病院に」と口癖のように言っていますが、今は事実そうなっていると思います。

 内部のことは内部の人間が一番良く知っています。今では、職員が大切な人を預けている病院です。家族が病気をした時、自信を持って奨められる職場になりました。「私の病院ではなくて、あなたたちの病院なんですよ」と言っていたのが理解してもらったのだと思います。病院機能評価も今度3度目の更新を予定しています。

 今では1日に200人以上デイケアでみています。病院で130人、近くの老健で80人ほどです。

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現在の病院は、平成12 年に新築移転したもの。以前の病院にくらべて延べ床面積が増え、リハビリテーションなどが大幅に充実した。

 人気の理由の1つは、温泉を掘ったことにあると思います。私は医者ではないですから、「食べて寝て風呂に入れる」ことを重視しました。部屋は良いのを作ろう。そして温泉を掘ろう、と。診療報酬の点数とは関係ないところに目を向けた。そうしたら幸い、良い温泉が出た。地主さんが病院の隣で温泉屋を始めたくらいに(笑)。

 病院も老健も温泉に入れ、歩行浴などが人気です。患者さんのお風呂は全部温泉です。理事長室にも、温泉に入れるように専用浴室を隣接し、私もたまに楽しんでいます。職員も夜勤のあとに入れるよう浴室を作りましたが、狭いので隣の温泉屋の券を買い、福利厚生で渡しています。

 熊本では今、同じように温泉を掘る施設が増えてきたようです。

 病院の事務長はどこも資金繰りで苦労しています。当法人の米村事務長は30年ほど銀行勤めで、役員までしていましたから、そのあたりのことはよくわかっている。

 うちに来て5年ほどになりますが、楽だと言っています。ボーナス用に2千万、税金に500万、設 備投資用に500万。計3千万を毎月積み立てています。財務内容が良好だから職員に還元できる。だから看護師などの職員に困ることはありません。辞める人は少ないし、優秀な人が集まってくれます。

 今は団塊の世代の退職が多く、退職金も用意しなければなりません。でもきちんと払うことで、若い人がもっと奮起する材料になっていると思います。職員の信頼が、運営では大事なことです。


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