熊本市立熊本市民病院/熊本市病院事業管理者 髙田明
熊本市民病院は総合周産期母子医療センターの指定を受けている。熊本で最初に新生児センターを作っており、今号9ページに掲載した健康保険天草中央総合病院の竹口院長もNICUにいた。「県内で一番大きな総合周産期母子医療センターですから、その責任は非常に大きいと思います。政策的な意味もあって、非常に力を注いでいる分野です」と髙田事業管理者は話す。また癌の拠点病院であり、特に乳癌に力を入れている。
取材した7月3日は偶然にも髙田事業管理者の誕生日だった。右にあるボードは、2013世界禁煙デー熊本フォーラム第13回全国禁煙推進研究会で飾られたもの。くまモンの横は、同フォーラムのマスコットである「すわんけん」。
今年4月に熊本市病院事業管理者に任命されました。急なことでもあり、当院の脳神経外科医が2人だけなので、今でも脳外科医として診療をしています。スタッフや事務が僕のスケジュールをうまく調整してくれて、なんとかやっていますが、早く人員を補充したいですね。
県内の脳外科はどこも少ない人数で頑張っているので、若い人には脳外科を志してほしい。去年ドイツに3週間研修に行きましたが、基本的な手技で日本人は負けていません。手術は手だけでするものではなく、準備や戦略の方も大事です。日本人は手先が器用だからさらに有利だと思います。特に脳外科は顕微鏡を使うので、目が少々遠視になっても大丈夫ですし、座って手術ができるので、歳をとっても十分やれる領域です。ただ、心臓と一緒で手術時間が長いため、体力は必要です。
僕はもともと野球部で、卒業後もやっているのですが、ヘッドスライディングで骨折したり、ダイビングキャッチで膝の半月板を痛めたりと、ケガが増えて野球を減らしています。今年3月、熊本大学医学部の現役野球部員とOBで試合をしました。同級生の眞鍋治彦先生(北九州市立医療センター麻酔科部長)に当日誘われ、午後から用事があって背広を着ていたのですが、急きょユニホームに着替えて参加しました。楽しかったですね。現役時代は彼が主将で僕が副主将でした。
4回まで参加し、センター前にタイムリーヒットを打って2打点。ただ、前みたいに走れないのと、肩が衰えましたね。今後は院内にもチームを作りたいです。
野球は観るのも好きで、大牟田にいたころはよくダイエーホークスの応援に行っていました。野球部の後輩が大牟田天領病院にいて、ホークスの大ファンなんですが、1塁側に年間指定席を持っていて、行かない時にそれをくれるんです。日本シリーズも行きました。
荒木淑郎先生が神経病総合医療センター長のとき、脳外科を開設したいという要請があり、当時の三井大牟田病院(現大牟田天領病院)に赴任しました。今の杉本院長(本紙583号参照)の時期とはかぶりませんが、13年間いたので一番長いですね。当時は大牟田医師会の理事もしていましたから、今、日医会長をされている横倉先生ともよく会っていました。ヨコクラ病院脳神経外科の石橋先生とも顔を合わせたりしていたので、病院にも何回か行ったことがありますよ。
今、大牟田天領病院には荒木先生の絵がいっぱい飾られているらしいですね。僕も絵が好きなので、誰かうちに寄付してくれないかな。当院では時々、ボランティアや職員の絵を展示します。
「屋上ヘリポート、駐車場500 台の新しい病院に建て変わる予定です」
昨年の6月、第20回日本乳癌学会学術総会が熊本で開催されました。この時の会長は、当院の西村令喜副院長です。また昨年の11月、第57回日本未熟児新生児学会・学術集会が熊本市で開催されましたが、これの会長は当院総合周産期母子医療センター新生児科の近藤裕一主席診療部長です。
今年の6月9日には、当院の神経内科の橋本洋一郎診療部長が実行委員長になって、熊本県民交流館パレアで2013世界禁煙デー熊本フォーラム第13回全国禁煙推進研究会を開催しました。
当院の特長は、全国学会の会長ができる先生たちが多くいることです。あとは救急医療や生活習慣病を充実させています。熊本は全国レベルの病院がいっぱいあります。協力しつつも特長を出していかないと。新生児センターは自治体病院として、政策医療として今後も力を入れます。
今一番の課題は、病院の建て替えです。今の建物は耐震構造に適してないと指摘されたので、早急に建て替えをしないといけません。市議会の「市民病院の在り方に関する特別委員会」で去年、今の場所で建て替えることが決まりました。今年から基本計画のために、話し合いやヒアリングを行っている最中です。基本設計に1年、実施設計に1年と設計に2年をかけて、建てるのに6年。都合8年で建つ予定です。場所がないから壊しながら建てます。当院の欠点に、駐車場が小さいことがあげられますが、500台を収容できるようになります。屋上にはヘリポートもできる予定です。