医療法人尚整会 菅整形外科病院 理事長 菅 尚義
取材の日、院長は朝から首の大きな手術をおこなっていたそうだ。取材はすでに暗くなり始めている時間だったが、休憩はとっていないという。それでも疲れを感じられなかったのは、記者が鈍感なのではなく、その生活が日常であるからだろう。
6月25日理事長室で撮影。この部屋を使うことはあまりないそうだ。それくらい診療に忙しい。
病院は、島原鉄道島原鉄道線干拓の里駅から近い。雨の降る天気にもかかわらず傘を持っていなかったが、まったく気にならなかった。
―ここは先生の代からですよね。
昭和61年に開院しましたから、そうです。当初はもっと道路(国道57号線│島原街道)よりで、19床の医院でした。道路の拡張工事に引っかかったので潰し、平成2年に田んぼだった土地に病院を建てました。今は73床あります。
長崎東高校、長崎大学とずっと長崎にいますが、出身は島原半島の南高来郡南串山町(現雲仙市)です。親父のあとは兄貴達が継いだので、それで諫早に出てきました。親父は外科と耳鼻科を中心に何でも診ていました。一番上の兄が耳鼻科を継ぎ、下の兄が泌尿器科を始めました。泌尿器科に興味があったんですが、兄が始めたので同じなのは...と思っていた時に縁があって、整形外科に進みました。怪我を診たい気持ちもあり、怪我は殆んどが四肢ですから、外科よりも興味を持ったんです。
―こちらは脊椎外科に強いそうですね。
昨年度は1年間で274件手術をしています。そのうち、脊椎についていえば、頚は21件、腰は98件、胸椎は6件していますね。 患者さんの負担が少なくなるように低侵襲の手術になるよう考えています。
当院のドクターは、全員首の手術をしますが、もっと経験を積んで技術を高めてほしいですね。やはり、経験を積むことが一番だと思います。今日朝からやっていた首の手術も若い医師と一緒にやりました。
脊椎以外にも、スポーツ外傷の治療と予防を宮崎昌利院長が頑張っています。部活をしている学生さんも多く来院されていますよ。
―スポーツはしていますか。
しません。大学を出たあとに居合は習っていましたけどね。クラブ活動は管弦楽をやっていました。
ヴァイオリンです。でも今は弾きません。去年誰かの結婚式で弾いたのが最後でしょうか。
今の趣味はメダカを飼うことと、エアーライフルです。
昔は免許がいらなかったんでしょうかね。子供のころに空気銃を持って、野山を駆け回って遊んでいましたよ。それが忘れられず7年ほど前から始めました。九州に撃てるところは少なく、筑紫野にある福岡県立総合射撃場に通っています。前回免許の更新を忘れていて、再取得は大変でした。
空港にはライフルで鳥獣を威嚇する仕事がありますが、あれも面白そうな仕事でやってみたいですね。
エアーライフルは、集中力を高めるという点で仕事にもいい影響を与えていると思いますよ。
―最後に。
整形は高齢の方が多い診療科ですが、最近は手術を受ける方の高齢化が進んでいます。整形で受診されても、心臓や糖尿など内科の合併症を持つ方も少なくありませんね。術前には内科の詳しい検査が大切になります。内科と協力して診療をしています。
当院は、脊椎の他にリウマチも専門にやってきましたが、今は生物学的製剤などでよい薬が使われるようになりました。薬の知識を持ち、コントロールするリウマチ内科の専門外来もあります。
- 【記者の目】
- 病院のある「干拓の里」の4駅先に愛野という駅がある。その愛野から2駅先の吾妻までの切符は「愛しのわが妻」と読めるために縁起が良いと、以前聞いたことがある。島原鉄道線には幸という駅もある。
記者は独身で、縁起も気にしないため忘れていたが、諫早駅で思い出した取材だった。(平増)