必要な専門職が徹底したチームを作り、適切に関わる 高額機器よりマンパワー

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社団法人是真会理事長 一般社団法人日本リハビリテーション病院・施設協会会長栗原正紀

栗原 正紀(くりはら まさき)
昭和53 年長崎大学卒業後、同大学医学部附属病院脳神経外科学教室に入局。平成2年長崎大学脳神経外科講師、その後長崎市内の救急病院である十善会病院の脳神経外科部長として赴任。平成11 年同病院副院長を歴任。長崎実地救急医療連絡会をたちあげ救急医療システムの構築を、また長崎斜面研究会の初代代表として地域リハビリテーション、まちづくりなどに参画し、平成13 年から近森リハビリテーション病院院長として5年間勤務。平成18 年6月末院長職を辞し、社団法人是真会理事長就任。平成20 年2月に長崎リハビリテーション病院を開設(同院長)。

 社団法人是真会の長崎リハビリテーション病院は、143 床すべてが回復期リハビリテーション病棟だ。理事長は脳神経外科にいた時、術後に大きな問題を抱える脳卒中などの疾患に強い問題意識を持ち、充実したリハビリテーション医療の必要性を痛感したという。救急の現場で必死に助けた命が社会復帰できないのは、しんどかったそうだ。この思いが、リハビリテーションに特化した病院を作るきっかけとなった。パイピングの関係で人工呼吸器をつけた患者は受け入れていないそうだが、現在は特に重度な患者を受け入れているという。単純な骨折を引き受けることはあまりないそうだ。職員の数は全部で340 人。うち、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士は合わせて120 人を超える。

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「出身は佐世保ですが、長崎の方が長いですね。名門佐世保北高出身で、作家の村上龍は同級生です」とのこと。

 「どんなに障害があっても、誰かが積極的に引き受けてなんとかしないと、救急医療で頑張っている連中の甲斐がない」そう思い、役割を明確にした病院を作りました。

 当院ではMRIを入れていません。必要になれば、周囲の病院にたくさんあります。高額な機器は置かない代わりに、マンパワーで障害を軽くしようと、診療報酬上の義務がない専門職も入れて、チームで取り組んでいます。病棟は3つ有りますが、病棟専従ソーシャルワーカーが2名。医師も病棟に専従で2名。看護師は10対1看護。看護補助職はほとんどが介護福祉士。歯科衛生士が各病棟1名ずつ。管理栄養士も全部で5人いますが、各病棟1人ずつ。薬剤師も4名です。なので、他院でナースステーションと呼ばれるスペースを当院では、スタッフステーションと呼んでいます。

 歯科衛生士の領域は、非常に根本的なところで大事になります。ただし歯科医がいないので、診療報酬は取れていません。それはしようがないけれどサービスのクオリティが高くなっていることは間違いない。歯科衛生士の提案を看護・介護が実践に移していけば、より効率よく仕事ができるわけですから。

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長崎市内には、古い景色が今も残っており、道も平坦なばかりではなく歩きづらい。このため、歩行練習のために屋上に設けられた階段は石を組み合わせて作られ、踏面は長崎の街並みを模されている。

 歯科衛生士がいることで院外の歯科医との連携がしやすくなっています。歯科診療オープンシステムという歯科医の登録システムを作っていて、長崎市の歯科医師会と協約を結んで、登録歯科医として16名の先生が登録されています。歯科衛生士が評価をして、必要と考えればカンファレンスで提案して、ドクターの許可、家族の了解を取ってかかりつけの歯科医に連絡するか、オープンシステムで登録している歯科医に連絡をして訪問歯科診療をやってもらう。そして歯の治療だけじゃなく、口腔の働きをしっかりできるような基礎固めをしてもらうということです。

 よくSTに摂食機能療法をやらせる病院がありますが、専門職としてはもったいない。「STとして使えば点数が高いのに、どうして安い方を取るの?」と言いたくなる。もちろんリハビリの1を取っているからでしょうけれども。

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 日本リハビリテーション病院・施設協会の会長をやっていますが、僕の前の会長が小倉リハビリテーション病院の浜村明徳先生です。僕の人生をリハビリに導いた先輩でもあります。国立療養所長崎病院でリハビリをされていた先生で、僕の先輩、長崎大学出身です。先生はもともと整形外科で、日本のリハビリテーション医は、整形外科からの流れが多く、卒業してすぐ専門医になった方と、我々のような他科にいた者が混在しています。九州には、鹿児島大学、産業医科大学にリハビリテーション科があります。人材はそういう所から出てきます。長崎大学にはリハビリテーション科やリハビリテーションの講座がないので、若い人が上手く育っていない。これは問題だと思います。大学で何を学ぶかと言えば、今は臓器別治療が主流ですよね。だからリハビリテーションに限らず、「総合的・包括的に教育する場も必要だよ」と、我々が声を張り上げているのが現実です。

 釣竿やリールを集めるのが趣味です。本当は釣りがしたいのですが、忙しくて行けませんから、眺めています。本当に悔しい。釣りを教えてくれたのは浜村先生。40を過ぎてからの趣味です。救急をしている時に「船で釣りをするから来い」と誘ってくれました。けれど「船に乗ったらいざという時に駆けつけられないから」と渋っていたんです。ところがある時、ビギナーズラックでとても釣れて、それから病みつきになりました。


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