「地域包括ケアのための病院」である理由

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公益社団法人地域医療振興協会 飯塚市立病院 管理者 武冨 章

1983 自治医科大学卒 1985 福岡県立嘉穂病院内科 1987 赤池町立病院内科医長 1990 自治医科大学法医学人類遺伝学教室研究員 1991 福岡県立黒木病院内科 1992 方城町立病院内科医長 1996 同所長 2005 筑豊労災病院内科部長 2008 から飯塚市立病院管理者。
■福岡県へき地医療支援機構担当医師 ■自治医科大学法医学教室非常勤講師 ■福岡県立大学看護学部非常勤講師

 取材に行った時、飯塚市立病院では看護師の寮を解体している最中だった。労災病院だったころのなごりで、もう使われていなかったという。5月1日から病院の建て替えが始まり、駐車場の拡張が必要なために壊すことになったらしい。

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リハビリテーション室で撮影。この分野に特に力を入れていることが端的に分かる。

―院長官舎にお住まいですか。

 昔の院長は住んでいたみたいですけど、あれは実際ね、誰も住んでいないんですよ。いわゆる、救急官舎と言いますかね。たとえば手術が遅れて帰れないとか、あるいは飲み会があって帰れないとか、そういった時にドクターが泊まれる部屋が5つくらいあります。

 その向こうの職員宿舎も2棟は使っていないので、壊して職員用の駐車場にする予定です。

―テニスコートも駐車場にされるとか。

 つぶしますね。もともと当院の職員はほとんど使っていませんでした。以前は労働者健康福祉機構が、当院の前身である筑豊労災病院と総合せき損センターを一緒にやっていたんですが、総合せき損センターとは今も付き合いが深くて、そこがたまに貸してくれと言ってくるぐらいですね。僕も昔はテニスをやっていましたけど、今は全然。もう完璧に運動音痴です。時々、夫婦で歩くぐらいです。

―病院は2008年4月開設と聞きました。

 昭和34年に筑豊労災病院ができて、ずっと黒字でやっていました。しかし総合せき損センターがありますから、「近隣に労災系病院が2つあるのはいかん」ということで、廃院の対象になったんです。医師会立病院にしてもらおうだとか、大学の関連病院にして残そうという努力があったみたいですが、すべてうまくいかなかったようです。そのころ我々(地域医療振興協会)も拠点となる病院を探しておりまして、それで「いったん市に移譲していただいて、それを私たちが指定管理者として運営します」と言ったところ「いや、君たちは真面目な団体だと思っていたので、願ったりかなったり」だということで、そうなっちゃったわけです。指定管理者として、土地と建物は市のものだけども、職員の給与とか医療機械は全部我々が支出しています。

―今回の新病院の建設が一般競争入札である理由ですね。

 実際のお金は我々が支払っていますが、そうせざるを得なかったわけです。しかし市と協議しながらですが、我々で新病棟の案は計画しました。いま駐車場がある部分に作り、既存建物の一部は駐車場になります。

 当院の手術室は最上階の5階にあるんですが、そういうのはもうはやらない。救急で手術をしなきゃいけない症例は、すぐにベッドにのせて、エレベーターで手術室まで行けるようにし、そして停電等の非常事態にはすぐに下ろせるようにする。8階建てですが、1階と2階には外来部門が入り、3階に手術室をもってくることにしています。

 当院は公立ですし、利益の追求以上に、地域の医療について責任があると思うんですよ。当院は大きな規模じゃないものですから、将来は病院から在宅医療部門というようなことで、急性期から看てきた患者さんを家で看る体制を作っていきたいなと思っています。

 その準備段階として、新しい病院の病床数は全く変わらず250ですが、うち50床を回復期リハビリテーション病棟として運用する予定です。新しい病院は「地域包括ケアのための病院」という位置付けで考えていただければと思います。

 なぜそうなるのかというと、この病院のもう1つの柱は「僻地医療」なんです。僕は自治医大出身ですし、当院には自治医大出身者がかなりいます。いわゆる義務年限を終えたドクターですね。義務内の医者は、山間僻地や離島に勤務していますが、学会参加や冠婚葬祭で診療所を空ける場合、診療所自体を空けるわけにはいかないので、我々がそこを埋める、代診に行くというようなことをやっています。また、当院は若い自治医大卒のドクターたちの研修の場でもあります。へき地医療の経験者はロールモデルとして適任です。先輩医師の指導を受けながら、夜間の急診や看取りを経験してもらう。そして、病院と診療所が連携をとるということを、今後第一線で働くべき人に、身をもって体験させる。そういう修練の場でもあるのです。

―自治医科大学で法医学の講師をされていたとか。

 今も非常勤講師です。「臨床をやってもどうなるかなあ」と血迷った時期がありまして、法医学の教室に顔出したら「いつでも来いよ」ってことで。死ぬ間際に、たとえばステロイドホルモンをドーンと打ったりしますが、本当に効いているのか疑問に思ったんです。臨床にも役立つだろうと。臨死医学とか薬物動態に興味を持ったのですが、しかし実際にはそちらに進まず、自治医科大学で盛んだった親子鑑定の研究に進みました。

 父権の肯定に関しての研究で学位をとりました。臨床で何かの専門医を持っているとか、指導医を持っているとか、まったくありませんから、病院管理者としては珍しいかも知れませんね。


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