マギの聖骨(上・下)
ドイツのケルン大聖堂で大事件が起こる。その事件で狙われたのは東方の三博士で有名な『マギの遺骨』(聖遺物)。それをめぐって、バチカンとアメリカ機密組織の合同チームが、歴史の闇に隠れてきた秘密結社との間で死闘を繰り広げる。その過程で明らかになっていく、世界の命運を握る『秘密』とは?
およそ結びつきそうもないキーワードが、見事に一本の線に結びつくという展開を見せる。そのキーワードとは、古代の世界七不思議、アレクサンダー大王、カトリック教会の陽と陰、最先端技術の超伝導。しかも、これらを結びつける鍵が、錬金術とキリスト教の発祥というあたりに摩訶不思議な世界がある。
具体的には、ある金属に潜在する空中浮揚の技術と無限エネルギーの解明を挙げているが、現代化学を凌駕していたかもしれないその知識がなぜ隠蔽されてきたのかを、キリスト教の伝統思想と結びつける。
ノンストップアクションに加えて、フィクションとはいえ、登場する美術品、遺跡、カタコンベ、財宝などはすべて実在し、科学技術もすべて最新の研究に基づいているという。本体価格667円。
(紀伊國屋書店福岡本店=松岡孝治)