今月の1冊 - 26.「楽しい古事記」
眠れなくなる宇宙のはなし
「楽しい古事記」 阿刀田高著 角川書店 / 552円
日本最古の歴史書『古事記』が編纂されてから１千３００年を迎えた２０１２年、ゆかりの地で様々なイベントが開かれ、関連本も多く出版された。そんな中で、小説家・阿刀田高の古典教養シリーズ『楽しい古事記』を紹介したい。本書は２０００年に出版された単行本『阿刀田高の楽しい古事記』に加筆・修正し、文庫化されたもの。読み物としては難解なイメージのある「古事記」をどれくらい皆さんご存知だろうか。阿刀田高の手にかかれば、そんな難解な書物も、軽妙でユーモラスな表現、解釈に換わる。とても楽しく「古事記」の世界に触れられ、初心者にも手に取りやすい一冊だと思う。
本書は同時に取材旅行記でもあるので、日本の故事を訪ねる際に、計画を立てる前やその道中、移動時間にちょっと読んでみるのもいいかもしれない。
（紀伊國屋書店福岡本店＝朝鍋麻莉子）
