九州大学病院長 久保千春
新年明けましておめでとうございます。
一昨年3月11日の東日本大震災から2年近く経過しました。しかし、震災の復興や福島原子力発電の事故処理はなかなか進んでいないようです。避難者等の数はまだ32万人余りであり、被災地の一刻も早い復旧と復興を願っております。
昨年の出来事としては12月に衆議院総選挙が行なわれました。自民党が圧勝し、民主党は大敗しました。3年3ヶ月の民主党政権の外交、経済が迷走した結果でした。安倍自民党政権になって、アベノミクスと言われる経済対策が打ち出されています。 デフレと円高からの脱却、名目3パーセント以上の経済成長の達成などであり、これを実現するための強気な経済政策案が挙げられています。経済状況が病院運営にも大きく影響をしますので、注意深く見守っていきたいと思います。
また、外交も大きな課題です。日本は中国との仙閣列島、韓国との竹島、ロシアとの北方四島問題を抱えており、特に昨年の中国での排日運動はひどく、その後、仙閣列島付近への中国の海洋監視船による領海侵犯や戦闘機による日本の防空識別圏への侵入が行なわれています。日本は中国と話合いによる外交努力をしながら、米国を含めた周辺諸国との外交関係を強固にすべきです。
嬉しいニュースとして、山中伸也教授がipS細胞の作製でノーベル生理医学賞を受賞しました。日本を元気づける大変素晴らしい快挙でした。今後この細胞は安全性を高めて、難病の治療や薬品開発に大きな貢献をすると考えられています。
ところで、医療界に目を向けてみますと昨年は4月から医科+1・55%の診療報酬改定が行なわれました。少しは楽になるかと思われましたが、運営交付金の削減や国家公務員給与削減の補填などでぎりぎりの状態です。今年は更に厳しい状況が考えられます。
2013年は巳年です。12支の「巳」は植物に種子ができはじめる時期と考えられています。「ヘビ」としたのは12支を浸透させるため、動物の名前を当てたものですが、理由は定かではありません。ヘビの脱皮にあやかって、脱皮して発展するなどと言われたりしています。
皆様方の飛躍の年になりますように祈念致します。今年もどうかよろしくお願い申し上げます。