時々というより頻繁に、2つの円を思い浮かべている。そしてそれぞれの円に、言葉がついている。
1つは「どんなに大きな円を描いても、その外側の方がはるかに広い」というものである。
これを思い起こす時、私は円の内側にいて外をながめる。自分がおごり高ぶった時の戒めになると同時に、円の外側と内側の縁(ふち)に、自分に必要な事柄や足りない面がみつかる。新たな行動を起こす際、この縁にあるものがきっかけとなることが大半だ。
今年の九州医事新報8月20日号で鹿児島大学附属病院の熊本一朗院長も、「際(きわ)がキーワード。際の向こうにあるものを見つけることが大切」と話されており、その意味はとても納得がいった。
2つ目の円は「相手の土俵に上がらない」である。この時、円の中にいるのは相手で、こちらは円の外にいて、円の中の相手を見ている。
かつて朝青龍というモンゴル出身の横綱がいた。引退した今でも彼と相撲を取ったら、こちらがこてんぱにやられるはずだ。彼の得意とする土俵に上がると叩きのめされる。
でも漢字の書き取りテストをやればこっちが勝つだろう。
これは人間関係を考えるうえで役に立つ。こちらは相手の円の縁にいて(縁にいなければ相手から見えないので...)、円から出てくるまで待って、こちらの効力が及ぶ状態になった時に友好な関係を結ぶことができる。握手は縁でするのである。
(コバルト色の空)