湯布院からエビデンスを

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湯布院厚生年金病院【先進リハビリテーション・ケアセンター湯布院】大分県リハビリテーション支援センター
森照明 病院長・センター長

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【PROFILE】
1970 東北大学医学部卒 同年脳外科入局
1982 大分医科大学脳外科助教授
2001 国立西別府病院長
2009 湯布院厚生年金病院長 国立西別府病院名誉院長
●日本臨床スポーツ医学会前理事・脳神経外科学術部会長
●日本オリンピック委員会強化スタッフスポーツドクター

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1962年以来、脳卒中、整形外科、循環器領域のリハビリテーション中心の医療に取り組んできた湯布院厚生年金病院は今年10月に開院50周年を迎えた。2011年に新たに立ち上げた先進リハビリセンターについて、「こういうのは日本にもあまりないと思いますよ」と森照明病院長。前職の西別府病院長時代には、特徴を徹底的にアピールして、30年におよぶ赤字体質をわずか3年で黒字転換した。「この病院での私の役目は医療の質を上げ、人材を育成すること」と語る森院長のまなざしの先は。

院長としての手始めは、湯布院の町中を走る辻馬車の四輪を「医療の質の向上」、「経営基盤の確立」、「地域への貢献」、「職員の環境整備」になぞらえることでした。

4つの車輪が同じ速度で、同じ方向に同時並行で走ることで、「湯布院号」という病院が「患者」を自宅まで、安全・安心に運び届ける。その実現のための「チーム医療」という手綱を院長が握るのです。

医療の質の向上のために、電子カルテ、院内LAN、医療安全システムの構築に加え、第一線級の講師による研修会を行なって、常に新しい知識や空気を入れています。そして、職員一人ひとりが研究テーマを持つことでモチベーションを上げ、リハビリ機能を強化し、もってチーム医療の推進へとつないでいます。

西別府病院時代には日本医療マネジメント学会九州山口大会に、全230演題のうち53演題を提出し、医療職はもちろん、事務職も参加しました。職員の教育には動機と目標設定が大切なことから、当院においても実施しています。

スポーツ選手と同じで、プログラムを漫然とこなすだけでは記録は伸びません。医療職であれ、事務職であれ、ただ業務をこなすだけではなく、毎日の仕事の中でテーマを見つけるからこそ、モチベーションを保てるのです。より深い研究のために修士課程に入学する職員もおり、モチベーションの高さは先進リハビリセンターのさまざまな試みに結びついています。

「先進リハビリテーション・ケアセンター湯布院」は2011年にスタートしました。50年間に渡ってリハビリ医療をしてきた実績はありますが、従来の方法では完治しない患者が増え、また回復期リハ病院の増加による患者減少を打破するねらいもありました。そこで、湯布院に来るメリットを明確に打ち出そうと、患者はもちろん職員にもやりがいや誇りになるものとして、先進リハビリセンターを作りました。

今では当院の先進リハビリ治療を望む方が全国から来られます。ロボットスーツHALや、日本で有数のリズム歩行アシスト、磁気、電気刺激、三次元動作分析等々、先進という名にふさわしいチーム医療を行なっています。

大分大学、企業との共同研究、医科歯科連携など、リハビリ向上のための取組みを積極的に推進しています。なかでも、「ゆふ医科歯科チーム」と「ころばん隊(転倒予防チーム)」は平成23年度の厚労省「チーム医療実証事業」の指定を受け、後者は今年の「チーム医療普及推進事業」になっています。また模擬患者(SP)を養成して医療安全コミュニケーションのトレーニングを継続的に行なっており、院内外の講座にもSPとして参加しています。

効果的な治療のためには、患者が楽しくリハビリに取り組まねばなりません。患者自身が楽しみ、動機付けし、目標設定するために「リハビリおもしろ隊」による「いきいきメニュー」を用意して、まるでレストランで料理を選ぶようにおよそ84のメニューのプログラムを作っております。

すべてはアイデアと実行力です。職員全員がアイデアとその実現のための方法論を出し、どんなに手間がかかろうとも、必要なものなら実行する。

現在先進センターには24の臨床研究チームがあります。スタッフは自分が興味を持つチームには組織横断的に参加してもらっています。

患者が目に見えて良くなるので、職員もますます楽しく仕事に取り組み、もっとエビデンスを出そうという院風が育っています。自分たちが考えて、編み出して、日本のみならず世界中にエビデンスを発信する意気込みで取り組んでいます。リハビリの新卒スタッフを募集する際にも、先進リハがあることを理由にして優秀な学生が集まるようになりました。さらにリハビリ施設の参考例として、県内外から医師や行政関係者が施設見学に訪れるまでになっています。今までには考えらなかったことで、まさに当院の先進リハが全国に誇るものになりつつある証左と言えるでしょう。

当院は回復期リハビリを主に担当してきましたが、これからは一つ一つを深めることが求められます。退院した後に症状が固定してしまって、治療をあきらめつつある生活期・維持期の患者にも、先進リハで症状が良くなるという夢と希望を与えたいと思います。

また、大分県指定のリハビテーション支援センターの維持存続とともに、県内11の広域サポートセンターのシステムの中核としての機能を果たしていかねばなりません。

1年半後には、現在の「独立行政法人年金・健康保健福祉施設整理機構(RFO)」から「独立行政法人地域医療機能推進機構」に移行します。私自身も参画した推進機構の理念は、「地域医療、地域包括ケア連携の『要(かなめ)』として超高齢社会に於ける地域住民の多様なニーズに応え、人々の生活を支える」ことにあります。

この「地域包括ケア」とは「障害のある人や高齢者、その家族が住み慣れたところで、安心安全に尊厳を守っていきいきと生きられる地域を作る」というリハビリの最終目的を意味します。その高みに届くために、歩むべき道はまだまだ続くのです。

今は日曜もほとんどなくて練習も満足にできないですが、卓球が息抜きです。50歳の時には大分県代表で国体にも出ました。医師の大会もあって、九州山口大会は3連覇中です。今年の全日本では決勝で負けて、2連覇を逃しましたけどね。

兄弟4人が医師なんですけど、兄たちの姿を見ていて、医師は生涯勉強を続けられるというのが魅力でした。


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