弁護と擁護の基準
患者の擁護や弁護について学ぶ研修会が、NPO法人患者の権利オンブズマン(福岡市東区馬出)で9月と10月、5回にわたって開かれた。
3回目の9月22日には医療関 係者14人が参加し、午前中は岡山大学大学院法務研究科の西田和弘教授が、権利擁護のあり方と裁判外苦情手続きについて話し、午後からは同オンブズマン理事長の池永満弁護士が、調査点検活動をする際の目的と手法について説明、参加者からの質問にも答えた。
池永弁護士は説明の中で、同オンブズマンはWHOの示す「患者は、自分の苦情について、徹底的に、公正に、効果的に、そして迅速に調査され、処理され、その結果について情報を提供される権利を有する」を基準にし、裁判による救済以外で苦情を仲裁して裁定するには、NPOやNGOのような独立した組織が望ましいとし、その立場で活動しているが、患者の権利について医療者の意識は低く、おうむ返しに義務を持ち出される場合が多いと述べた。
そして日本国憲法を例に引き、国民は教育を受ける権利を有しているが、それを保障する義務は、国民ではなく国にあると話し、患者の権利もそのようにして守られるべきだと語った。
また、調査をする際は、患者の苦情を離れて、あるいは推測や診療家庭の問題点を探索することは苦情調査の目的に反しており、原因調査を誤らせることにもつながりかねないとした。
この日の研修会は、同オンブズマンの活動が、医療側と患者側の信頼関係を改善させ、対話の強化につながる側面も有していることを感じさせた。