今月の1冊 - 23.「病院で死ぬのはもったいない」

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病院で死ぬのはもったいない

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「病院で死ぬのはもったいない」 山崎章郎/二ノ坂保喜 春秋社

新刊である。すでに読まれた方もいるだろう。「病院で死ぬということ」の著者、山崎章郎医師と、二ノ坂保喜医師(にのさかクリニック院長=福岡市早良区)の対談を、批評家の米沢慧氏が編んでいる。

サブタイトルに「いのちを受けとめる新しい町へ」、帯に「いま、ホスピスは町の中へ」とあるように、「患者を病院から解放する」という観点で書かれており、それによって病院のあるべき姿、これから進むべき道も見えてくる。

冒頭、スイスの精神科医エリザベス・キューブラー・ロスの「生の終わりには、鎮痛剤よりブドウ酒、輸血より家のスープのほうが患者にははるかにうれしい」を引用し、末期患者を在宅や施設ホスピスに帰すことで、地域の結びつきを復活させる運動にまでつなげようと試みる。

失われている家族の介護力を、訪問看護や介護、デイサービス、ボランティアなどさまざまな職種で支え、診療所や病院が後方支援に立つことがチーム医療の可能性をさらに広げる。その実例が本書にはいくつも出てくる。

「在宅ホスピスの経験が家族のケアの力を引き出し、育て、その結果、地域のケアの力も高まっていく」と両氏は言う。そこを病院が理解してくれたら、やってほしいことはたくさんあると話す。

医療者でなくても読み進んでいくうちに、自分や家族の死の間際はどんな状況が望ましいか、そのためにどう生きればいいか、今の自分に何かできるかを考え、周囲の人たちに目を向けることになる本である。

医療関係者と市井に生きるすべての人に読んでほしい一冊。この書の完成度は、おそらく高い。

― 本紙編集部 ―


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