【人間研究】自分を磨く 大和信春氏と博多で語る②

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世間を見返したければ自分で

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【やまとのぶはる】 はる研究院代表(研究者、スーパーシンクタンクマスター)
山口県萩市生まれ。広島大学大学
院修士課程( 実験心理学) 修了。
詳しいプロフィールは前号参照。
◆著書に「和の実学」「企業理念」「心の自立」「益源」などがある。

今よりずっと昔、20年くらい前に1人の若い父親から、子育てのもっとも基本となるものは何かとたずねられたことがあると大和氏は言った。子供がもうじき中学校に上がる父親の問いかけだった。

それに対して大和氏は、「世間に復讐する道具に子供を使わないこと」と答えたという。

今月もまた大和氏と、博多バスターミナル8階にあるグラーノで軽い食事を取りながら、彼の話に耳を傾ける。

 「子供を使って世間を見返そうとしないことです」とも彼は言い換えた。誰にも理解でき、自分はそうじゃないと誰もが言い訳しそうな指摘に、私は自分の過去をそっとスキャンした。

おそらく子供が親の腕の中で、歯のまだ生えぬ歯茎を見せて笑った時、あるいは小鳥のように無邪気にさえずる光景を見た時に、親孝行は終わっているのである。

そこを見過ごして、自分が親であることを理由に親孝行をいつまでもせがむのは、子供から奪おうとする卑しさ、または、感性の鈍さが根っこにある人ではないかと思う。

「その人には、それが気になりました」

大和氏の言葉に私は我に返った。

「そんな親は多いかもしれませんね。さいわい私の親はそうではありませんでしたが」。そう言いながら、運ばれてきたピザとスパゲティを小皿に分けた。

言葉数の少ない大和氏はそれ以上は触れずに、「善苦悪快観念=善いと言われることは苦しいもので、心地よいことは善くないこと、という固定観念」に話題を変えた。

程度の差はあっても、大抵の親は子供が自分よりも優れているのではと期待したがる。この子は天才かもしれないと思い、しかし小学校に上がるころには露と消え、その期待が思い過ごしだったことに内心で照れることになるのである。

だがほんの一握りの親は、子供が突出して優れた大人になることをずっと期待し、それにそぐわない結果を許さない。親だけでなく祖父母までがあおり立てることもありそうだ。

そのような環境で子供はどうならなければならないのか。彼(または彼女)は自分の道を選べず、親の許す道の中から選択することを求められる。自分の人生ではなく、親の生きざまの補完、アクセサリーとしてのみ存在を許される。つまり親の人生の装飾品なのだ。

何も求めず、ただ今のままを抱きしめて、私の子供でいてくれてありがとうと言うことに、なにか大きな損失でもあるのか。過剰な期待と深い愛は違うのである。


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