飛耳長目 かしこい患者

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信用は自己責任で

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「患者の権利オンブズマン」の弁護士らが7月26日、福岡市東区の事務所ビルで開いた会見に、新聞社とテレビ局の記者10人が集まった。

会見の内容は、福岡県内の緩和ケア病棟に入院していたステージⅣ期の女性(69)に、本人が嫌がっても硬性コルセットや薬剤で行動の制限や抑制をし、カルテに「わがまま」と書くなど、期待した心のケアをしなかったというもの。女性は1か月後に転院し、その5日後に転院先で亡くなったという。病院名と患者名は伏せられた。

患者の夫から苦情相談を受けた同オンブズマンの弁護士や医師、看護師、学者らが、相手方病院と遺族を調査し、遺族の夫と病院をそれぞれ訪れて調査報告書を読み上げた。夫は「これで妻と同じ目にあう女性がいなくなればうれしい」との趣旨の言葉があったが、病院側は医師も院長も憮然としていたようだったという。

会見で弁護士の1人は「活動を通じて、不本意な死を迎えている場合が多いと感じる。がん末期に激烈な化学療法を受け、その副作用で半年の予後が1か月に縮まったり、ほかの病気でも寝たきりに近い状態で病院や施設で過ごす人が大勢いる。終末期をどう看取るかは大きな問題」と話す。そして「自分はいかに死ぬかという具体的なイメージがないために起こったとも言える」と語った。

記者から「インフォームドコンセントを患者の説得に使うだけではこれからも起こる」との声が聞かれた。

前号のこの欄で「余命が幾ばくもない患者にすれば、命をたくす医師こそ最後の友人」と書いた。あるいは取材で患者から「かしこい患者になりましょう」というメッセージを何度か聞いた。

かしこい患者とは、自分の病気について詳しいだけでなく、「この主治医に命を託しても悔いはないか」と、冷静に判断する目を持つことかもしれない。

病院の側にしてみても、医師の治療は間違っていないという大前提があるから、患者や家族から苦情が申し立てられると反射的に身構えてしまうのは容易に想像がつく。

このような悲劇を減らそうと、同オンブズマンの主催で市民大学「医療講座 死生学入門」が開かれる。参加費500円。内容は次の通り。

  • 10月27日午後2時〜同3時半「笑う終活講座」=波多江伸子=死生学研究者(天神チクモクビル)
  • 12月1日午後2時〜同3時半「在宅ホスピスの現場から」=二ノ坂保喜=にのさかクリニック院長(天神チクモクビル)
  • 2月23日午後2時〜3時半「日本人の死生観の変遷を振り返る」=谷田憲俊=前山口大学医学部教授(天神ビル)。

一般市民、患者、医療者ともに必見、必聴の講座になりそうだ。(川本)


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