たまに耳にするが、その違いがよく分からない臨床研究と臨床試験、そして治験について、福岡大学病院臨床研究支援センターの専任薬剤師、高比良誠也さんの解説はとてもわかりやすかった。
今回で58回目を数える福岡大学病院のがんセミナーは、がん患者や家族、一般参加者と講師との距離が近いこともあってか、本心から知ってほしいという気持ちが表われているようだ。
たとえば臨床試験に参加する人を無作為に振り分けるランダム化は、新薬候補を使用する群と、現在使われている薬を使う群を均等に分けて、効果や安全性を適切に評価する。こういったことは普通の人にはわからない。
ほかにも、日本は欧米に比べて治験の開始が4年くらい遅れるため「ドラッグラグ」といわれる現状があり、欧米でよく使われている抗がん剤の半分くらいが使えない状況にあることや、新薬や新しい治療は研究者や医師だけではなく、臨床試験に参加する人たちの協力によって生まれていると語り、福岡大学病院で実施中の治験を紹介したうえで、「このうち半数はすでに海外で承認されている」と話した。
臨床試験は本人の意思が尊重されるので途中でやめられることや、試験の方法について文章による細かな説明があるほか、倫理委員会など第三者の目にもはかられるので、
関心のある人は臨床研究支援センターに相談してほしいと講演をまとめた。
次回59回目のがんセミナーは、7月27日午後1時から、「がんに関するなんでも相談」と題し、同大学病院腫瘍センター主任看護師の平迫恵子さんが、セカンドオピニオンや民間療法を中心に話す。第60回がんセミナーは9月28日、薬剤部の西田恵美さんが、抗がん剤のジェネリック薬について講演する。どちらも参加自由で入場無料。