=アクロス福岡で市民講座=
日本脳卒中学会(佐々木富男会長=九州大学大学院医学研究院脳神経外科)の第37回総会が4月26日から28日までの3日間、福岡サンパレスと福岡国際会議場で開かれた。今年も「日本脳卒中の外科学会」(永田泉会長=長崎大学大学院脳神経外科)と「スパズム・シンポジウム」(西澤茂会長=産業医科大学医学部脳神経外科)との合同で開催された。
市民講座に220人参加 最終日の28日には天神のアクロス福岡で市民公開講座があり、あいさつに立った佐々木会長は、「要介護者となる疾患の1位は脳卒中。突然死ねれば天命と思えばいいが、寝たきりになってしまうと、自らの命を絶つこともむつかしく、家族などへの負担を考えると避けたい。この問題はとても切実」と、参加した市民220人に予防の大切さを訴えた。
プログラムは誠愛リハビリテーション病院の井林雪郎院長を司会者に、脳卒中に関わっている三人の医師が、内科、外科などの立場から講演した。
新しいtPA溶解療法
九大病院救命救急センターの杉森宏准教授は内科医の立場から、脳卒中には大きな誤解があるとし、脳ではなく血管の病気であること、突然卒倒するのではなく前ぶれがあり、医学的には脳血管障害であると語り、血栓を溶かす薬tPAを使った溶解療法やカテーテル治療について説明し、サ最後に「早いということがすべての治療に優先する。気づく早さ、病院に到着するまでの早さ、診断する早さ、治療する早さ。福岡の救急救命士のレベルは高く、救急車の有効利用が決め手」などと話した。
予防を心がけて上140・下90を超えないで
福岡東医療センターの中根博医師は「脳卒中は生活習慣病をベースにした病気。それをしっかりコントロールすることが大事」とし、高血圧が脳卒中のリスクとして最も高く、上140・下90を超えると男女とも脳卒中を起こす頻度が高くなることを知っておいてほしいと語った。
長崎医療センターの堤圭介脳神経外科部長は、映像を交えて脳卒中の外科治療を解説した。最後の総合討論で、tPAの恩恵についてや脳卒中の見つけ方などの質問があり、各医師が答えた。