弱者を見捨てない「無差別平等の医療」ますます重要に

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シリーズ"病院長に聞く"
総合病院 千鳥橋病院 (福岡市博多区千代5-18-1) 鮫島博人院長

新西館を建設中の千鳥橋病院。本館の正面玄関を入ると大きな字で=『無差別平等の医療』の更なる発展=と大書してある。日ごろ聞き慣れない「無差別平等の医療」についてうかがうところからインタビューは始まった。

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【プロフィール】
1954年-鹿児島生まれ。
1979年-鹿児島大学医学部を卒業し、千鳥橋病院入職。2000年-健和会大手町病院副院長に就任。2002年-千鳥橋病院院長に就任し現在に至る。

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「千鳥橋病院の歴史は、1968年に小さな診療所を開設したところから始まります。戦後の厳しい生活や労働環境の中で病気にかかっても、安心して受診できる診療所をつくろうという運動が地域で起こりました。一口500円の募金活動がおこなわれ、14万円の基金が集まり診療所が開設されました。それからも、患者さん、地域の皆さんに支えられ、今日の千鳥橋病院となりました。

千鳥橋病院は開設時より全日本民主医療機関連合会に加盟しています。この会の理念は『どこでも、だれもが、安心してかかれる医療』の実現です。千鳥橋病院が理念として掲げている『無差別平等の医療』と共通するものです」。

―具体的な特徴は?―

千鳥橋病院では経済的な理由から医療費の支払いがむつかしい方に対して、第2種社会福祉事業の「無料低額診療」を活用し、窓口負担金の減免を行なっています。また、室料差額を一切徴収していません。今建設中の西館は、ゆったりした個室をたくさん作りますが、ここも差額ベッドがありません。お金がないから個室に入れない、ということのないようにしたいですから。

―病院経営は大変じゃないですか?―

差額が入らないというのは、経営から見れば大変ですが、命は平等という基本理念ですからね。

―医師の確保が困難なのでは?―

幸いなことに、当院に来る研修医には地域医療をやりたい人が多いんですよ。あるいは「1日医師体験」に参加した高校生が、医者になってうちに入って来る。高度医療や先端的な場所に身を置きたいという志向ではなく、地域医療や災害医療、あるいは弱者救済をやりたい医師が近年はとても多くて、そういったドクターたちがここを支えているんです。目標が明確だから地域に根付くのは早いですね。

―新人の医師はどんな研修を受けるんですか―

4月にすぐ、医師や看護師、事務、検査技師などでチームを作り、地域に入って「地域レポート」というものを作ってもらうんです。住人にインタビューして、医療と健康に関するあるさまざまな問題を聞き取る。これは3年前からやっていて、それぞれ披露してもらいます。次の発表は6月くらいかな。

―その活動に同行させてもらえませんか?―

かまいませんよ、どうぞどうぞ。TQM活動はもっと前からやっています。今は50くらいのチームがあって、発表会はすごくにぎやかです。調理師さんが堂々と発表してトップ賞を取ったりして、想いもよらない内容に驚くことは多いです。医療従事者以外の人が見学されたりもしますね。

―一階に「友の会」のポスターがありましたが―

私たちの病院、診療所は地域の方々でつくっている友の会に支えられています。病院の運営にも地域の方々の声を反映させる努力をしています。毎月、病院の役員が地域の住民から苦情や要望を聞く話し合いが行なわれて、手作りで解決していくようなこともよくあります。

―どんないきさつで鹿児島からこの病院に?―

先輩に誘われて、医療の腕を磨くために来たんです。いずれは鹿児島に帰るつもりで。だから理念への共感もありませんでした。でも患者目線という立場は徹底しているから、余計なことを考える必要がない。実はそれがとてもシンプルで、私には楽でした。それで鹿児島に帰らずに(笑)。

―そのような立場で福岡はどう見えますか―

民医連でこのあいだ調査したら、福岡は病院にかかれずに孤独死する人が全国でいちばん多かったんですよ。当院のように救済制度のある機関がまだ知られていないこともあるでしょうが、家族や友人に見放された人はかなり増えていて、これからさらに深刻化していくでしょうね。

―最後にご趣味をお聞かせください―

大学時代に楽団でトランペットを吹いたり指揮者をやっていたのでクラシック音楽をよく聞きます。好きなのはフォーレのレクイエム。古いオーディオの音を無線LANで飛ばしてデジタルで聞くんです。コンピュータの組み立ても好きで、そんなパソコンが10台くらい転がって妻のひんしゅくを買っています。


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