日本小児アレルギー学会とアジア太平洋小児アレルギー呼吸器免疫学会 合同学術大会

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アレルギーから子どもを守ろう

合同学術大会

左から、福岡市立屋形原特別支援学校の泊秀明氏、新宿区立落合第一小学校の若林治代養護教諭、関東中央病院皮膚科の日野治子医師、福岡女学院看護大学の奥野由美子講師、アラジーポット主宰者の栗山真理子さん、座長の和歌山大学教育学部の武田鉄郎氏と富山大学医学部小児科の足立雄一氏。

10月28日から30日までの3日間、福岡国際会議場で第48回日本小児アレルギー学会と第16回アジア太平洋小児アレルギー呼吸器免疫学会との合同学術大会が開催された。
メインテーマを「環境とアレルギー=子どもの将来を考える」とし、急速なアレルギー疾患の増加を、環境の問題との関連で広く取りあげ、学会初の試みとして、小児アレルギーエデュケータが中心となって生活を指導する市民公開講座「親子のアレルギー教室」をプログラムに取り入れた。

同教室は学会とシーメンスヘルスケアダイアグノスティクス㈱が共催したもの。エデュケーターとは小児のアレルギー疾患を総合的にとらえ、患者教育や指導ができる専任者のことで、全国に約50人いる=囲みに特集。

2日目のシンポジウム「アレルギー児をめぐる学校との協力関係」では、福岡市立屋形原特別支援学校の泊秀明氏、新宿区立落合第一小学校の若林治代養護教諭、関東中央病院皮膚科の日野治子医師、福岡女学院看護大学の奥野由美子講師、アラジーポット主宰者の栗山真理子さんなど、アレルギー児にかかわっているさまざまな職種のシンポジストが登場し、それぞれの立場でアレルギー児への対応について発言し、医師、学校、保護者の間の認識や見解に相違のあることが浮き彫りになった。また子どもの気持ちを充分に汲み取れていない場合のあることも、看護の現場から報告された。座長は和歌山大学教育学部の武田鉄郎氏と富山大学医学部小児科の足立雄一氏が務めた。

アラジーポットの栗山真理子さんは、「学校生活管理指導表は、家庭と学校と医師が情報を共有するコミュニケーションツール。アレルギーを抱えてがんばっている子どものために社会基盤を整備したい。アレルギー児を持つ親が学校や病院に望むことを、モンスターペアレンツと思われないようにどう伝えるかを各地で教えている。食物アレルギーがあると、楽しいはずの食事がそうではなく、発作が起きると死を感じる子どももいる。そういった気持ちを理解してほしい」。

看護大学講師の奥野由美子さんは学校との連携による看護の役割について話し、「アレルギー疾患のある子どもは小さいころから、いろんな医療言語にさらされ、他の人から体の判断をされるという経験を重ねて受け身になる。『看護師さんはいつだって正しい。僕は言い訳なんてできない。でも言いたいことはある』とか、『学校に言ってもお客みたいに気遣いされて、行動を監視されているみたい。退院して学校に行く日がいちばんきつい』と言った子もいる」と話し、配慮が逆に作用して、他者による活動制限に怒りやもどかしさを感じ、自尊感情の低下も招きやすいと述べた。そして「教育者や医師は専門家であることをちょっと脇に置いて、家族の自己決定を尊重する理解が大切」とも語った。

日野治子医師は「アトピー性皮膚炎の患者に学校管理指導表を知っているかどうかを聞くと誰も知らなかった。学校にアトピーの塗り薬を持ち込ませない学校もある」。

若林治代養護教諭は、「食物アレルギーについて学校としては、保護者が子どもの食事を注意深く観察すること、子ども自身にアレルギーをよく説明すること、子どもが自分で対処できるよう態度化することの3点を徹底できるよう支援したい」とまとめた。

屋形原特別支援学校の泊秀明氏は「アレルギー児童の入退所に際しては三者懇談会を開き、保護者、児童生徒、小児科医長、主治医、病棟看護師長、主事看護師、教頭、養護教諭、コーディネータ、担任も参加して意見交換を行なっている」と報告し、在宅児への支援の困難さなど、課題もいくつか述べた。

会場の聴講者から、子どもは何歳くらいから自分の状況や症状を認識できていると思うかとの質問に、「小1でかなり分かっている」、「命にかかわることは、1歳でも理解する」、「他の子との違いはなかなか理解できない」、「子どもが体感的に知りたいと思う年齢が、本当にわかる時」、「早い時期に知っている子どもが多い」、「家庭環境で理解の度合いが違う」など、立場によって見解の相違が見られた。保護者の側に、子どもへの負い目があることもいくつか報告された。


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