世界デビューしてわかったこと

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=欧州眼形成学会に参加して=

鈴木亨(鈴木眼科クリニック院長)

鈴木亨(鈴木眼科クリニック院長)

9月中旬、イタリア北部コモ湖畔のリゾート地で第29回ヨーロッパ眼形成学会が開催された。私は満を侍して、国産涙道内視鏡の発表ビデオを抱えて乗り込んだ。もちろんそこは現代の学会、実際にはMPEG2形式で保存した動画データを持ち込んだのだが、実はこのデータで、すべて管理する現在の発表方法と、イタリア人のおおらかな性格があいまって、私のビデオに思わぬ恵みをもたらした。
予定では9月16日朝に発表を許された演者十数人のビデオデータがPCセンターでダウンロードされ、それがひとつながりにされて、ポスター発表の会場に設置された50インチプラズマモニターで繰り返し再生されるはずだった。しかし、前日にはプレミーティングがすでに行われており、私は15日の早朝に、事務局スタッフに話しかけ、いまダウンロードしてくれないかと頼んだ。すると何の問題もなくその場ですぐにデータをPCに移してくれ、なんと、すぐに再生を始めてくれた。
会場には、翌日から発表のポスターを張り付けにくる医者や、早めにポスターを見たい医師、または翌日からの準備に抜かりはないか見回りに来る事務局のエグゼクティブなどがせわしなく往来し、その中で私だけの日本製涙道内視鏡の手術ビデオが回り続ける事態となった。その間、多くの人が足を止めて私のビデオに見入ってくれた。
その傍らに立つ私に最初に話しかけてきたのは、デンマークからやってきた涙道サージャン。私のビデオをほめてくれ、内視鏡に関する様々な質問をしてきた。
この予想されたやり取りのために私は3カ月以上もかけてアメリカ人2人とカナダ人1人の友人に手伝ってもらいながら、ビデオと質疑応答の準備をしてきた。だから大抵のことには答える自信があったが、予期していなかった話題になった。内視鏡の滅菌の話題である。
前回に記事にしたように、私の内視鏡はファイバー内視鏡の一種であり、内視鏡プローブの先端にマイクロレンズを糊で貼り付けてある。この特殊なレンズ糊は大抵の薬剤には影響を受けない性質のものであるが、熱には弱い。したがって内視鏡の滅菌にはガス滅菌を使用しているが、オートクレーブ(高温高圧蒸気滅菌)の必要性を指摘された。中枢神経を触らない涙道手術の分野ではクロイツフェルドヤコブ病の感染病原体プリオンの心配はないので、衛生面からはガス滅菌で十分である。しかし、病医院で滅菌に用いた毒性のあるガスはそのまま環境中に廃棄されるため、環境汚染の可能性がある。日本でも、この件に関しては数年後にはガス滅菌が認可されなくなる予定で動いているが、まだまだ環境意識は低く、すべての医療器具がオートクレーブ対応とはなっていないのが実情だ。(次回最終)


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