コラム 第3回 リーダシップ

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(コバルト色の空)

「後行程(あとこうてい)はお客様」という言葉がある。次の行程で働く人を思いやる仕事をするという意味だが、お客様という言葉には顔がないし、社員間にお客様の言葉は馴染まない。それで私は、講演の場で次のように教えていた。「自分の身内が後行程にいると思え」と。つまり心の中で、自分の親や兄弟、親戚の誰かが後の行程を引き受けているのだと思うようにするのである。それができれば、自分の仕事に変化が生まれる。

後行程は自分の血筋が行うわけだから、仕事に気遣いが生じてていねいになり、納期も守られて協力の気持ちが沸いてくるようになる。昨日まで憎かった相手も、今日は哀れに見えてくる。

それができる人はたぶん昔からいた。その人は病院の待合室に一人座っている老婆を、病気の他人ではなく病気の祖母と見た。見知らぬ患者としてではなく祖母としていたわり、それが老婆にも伝わった。それの繰り返しでその人は職場を明るくし、笑い声の中心にいるようになった。その人がいない日の職場はほんの少し暗くなった。その人は、派手さはなくても、職権を持たなくとも、本採用ではないにしても、職場を活性化させる潤滑油となった。これを「リーダーシップ」と呼ぶ。それのできない人は職権や威厳だけで人を動かすしかなかった。これを「リーダー」と言う。

思うに、電車でお年寄りに意地でも席を譲らない青年たちは、お年寄りの横を縫うようにして空き席にありつこうとする若い女性たちは、実は心の底で自分の祖夫母を憎んでいるのではないか。席を譲らないのは心のどこかで復讐しているつもりなのに違いなく、その姿に私は、彼らの家庭が分断の連鎖の中にあるのを見る。仮に祖父母が好きであるのなら、目の前のお年寄りにそれを重ね合わせることが困難な、非常に想像力の乏しい人なのだろうと思う。リーダーシップの発揮など生涯無理だろうが、それでもその人は、人一倍幸せになりたいのである。

■コバルト色の空=山口県生まれ。中小企業大学校直方校・人吉校の元客員講師。別の名前で自己啓発の本がある(大和出版ほか)。福岡との縁は日本青年会議所の研修を引き受けたことから。趣味は鼻歌。アイルランド民謡をよく歌う。読書は多い時で月に40冊ほど。でも今は自分の言葉と混同するという理由でほとんど読まない。尊敬する偉人は数学者の岡潔と哲学者の森有正、それに老子だというからかなりの硬派だが、最高の一冊としてヘッセの「シッダールタ」をあげる。


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