活発だったCAPD検討会

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第28回九州CAPD検討会で活発な報告

挨拶をする中本雅彦会長

挨拶をする中本雅彦会長

「震災に勝つPD」福島の医師が特別公演

博多区吉塚の県中小企業振興センターで7月23日、第28回九州CAPD検討会の会合があり、医師35人のほか、看護師、 技師、メーカーなど合わせて147人が集った。
柳田太平代表幹事(新日鐵八幡記念病院腎臓内科部長)の会計報告のあと中本雅彦会長(済生会八幡総合病院副院長)が 挨拶し、続いて大分赤十字病院の看護師、森由美子さんが「腹膜透析患者への入院中の患者指導の充実を目指して」、小倉記念病院の近藤久美子さんが「腹膜透析患者の入院から退院までの経過」、済生会長崎病院の杉本佳奈美さんが「腹膜透析カテーテル出口部ケアの新しい試み」について、患者への質問紙調査やPD導入への取組み、あるいはPD継続のためのケア など、現場の状況を報告した。さらに大分県厚生連鶴見病院腎臓内科の安森亮吉医師が「PD継続から見た当院の現況」、南里泌尿器科医院の南里正之副院長(佐賀県)が「有床診療所での腹膜透析導入の試み」、そして新日鐵八幡記念病院腎臓内科の大仲正太郎医師が「腹膜透析の病診連携と医療介護連携」について、成果や今後の課題などについて講演し、参加者や座長から寄せられた質問に、壇上の6人がそれぞれ応答した。

荻原雅彦院長

挨拶をする中本雅彦会長

特別講演では、おぎはら泌尿器と目のクリニック(福島県福島市)の荻原雅彦院長が、「東日本大震災における透析医療の現場から」と題し、震災以降の現地の状況を、透析医療を中心に生々しく話した。要旨は次の通り。


  • 地震、津波、原発事故で福島県民200万人のうち10万人が避難を強いられ、うち3万人が県外に避難した
  • 透析施設は20km圏内に2つ、20kmから30kmのところに2つあった
  • いわき地域では原発風評で医療崩壊が起き、大量の透析難民が発生した
  • 福島県は透析施設が少なく、透析医の連絡網が稀薄だった
  • 福島市内20カ所の透析施設のうち運用できたのは3カ所
  • 透析の電源と水、ガソリンの供給は特別の手段を講じた
  • 患者の安否は、医療機器材の企業も積極的に動いてくれ、3日以内に全員の確認が取れた
  • 震災後当院のキャパシティの2倍、260名を収容した
  • 他施設の状況がなかなかつかめず、じかに出向いて確認した
  • 紹介状のない患者はデータがなく、震災で検査も出来ない状況だった
  • 透析状況の設定は必要最低限とし、昔ながらの方法でむくみや血圧、通電後はレントゲンなども使った
  • 地域内、地域間の連絡網が寸断されたことは大きな反省点
  • 震災直後、自然発生的に県北と会津との2地域で、独自のネットワークが形成され、それが日本透析医会の災害情報ネットワークとリンクして、ようやく患者の管理や、必要機材、治療スタッフの提供などが示せるようになり、それが県全体に広がった
  • 腹膜透析については、福島県は医師間の連携が強い
  • 震災にともなって他地域の患者も収容したため、60kmから70kmの診療圏となった
  • 腹膜透析患者の対応については、選択肢として、患者が治療する自宅が損壊していないか、ライフラインが確保されているか、避難の必要があるか否かという点が重要だった
  • 通院する透析施設が稼働しているかどうかもあったが、その過程で非常に多くの、全国の腹膜透析医が福島の施設や被災者を応援してくれ、力強く感じた
  • 日本透析医学会からも早期に、腹膜透析の受け入れ施設が公開され、患者や透析施設はそれに従って、腹膜透析患者を選定した
  • 震災時、被災して避難した腹膜透析患者は471人、このうち1割は施設も含めた避難を要し、透析が困難だった患者は24人いた
  • 自宅の損壊がない場合は、かかりつけの病院に通院可能であれば自宅PDを継続してもらい、通電できないAPDの患者は必要に応じてCAPDシステムに変更している
  • 停電期間中でも病院の非常用電源が使えたので、夜間は病院の透析室40床を開放した
  • 機材の調達は当病院が腹膜透析液の備蓄基地になった
  • 自宅損壊のある場合はネットワークで施設を探し、候補病院の周囲に転居して治療を続ける人もいた>
  • 腹膜透析は物流が安定しさえすれば外来管理が可能だったという実感がある
  • 通院頻度も少ないために、診療エリアを広げて被災患者を受け入れられた
  • 実際にAPD221人のうちCAPDに切り替えた人はわずか16人で、電気が通ってからは全員がAPDに戻った
  • まとめとして、各透析施設間の通信網の確保は非常に重要▼そのため、日本透析医会の災害情報ネットワークを基として、全ての施設で共有できるシステム構築が望ましい
  • コーディネータは重要で、患者の適切なマッチングを行なった上で物品を供給し、スタッフを分配する必要がある
  • 腹膜透析に関しては、かかりつけ、後方病院のいずれかで対応でき、物流も非常に安定していた
  • 透析患者の生活環境は非常に劣悪であり、心のケア、食事療法、合併症管理、病院に通える手段の提供が必要
  • 疲弊している医療者自身のリフレッシュも大切。

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