池澤夏樹編
本は、これから 池澤夏樹編
【岩波書店 定価861円】
ちまたでは電子書籍が流行している。持ち運びに便利で、簡単にダウンロードでき、紙の書籍よりも安く買えたりする。携帯電話やipadなどタブレット端末で簡単に読むことができる。本もどんどん進化していく。
こんな時代におすすめしたいのが、「本は、これから」という一冊だ。作家や評論家、装丁家、書店員など、本に関わる人々のエッセイ集で、文字通り本のこれからを、それぞれの視点から綴っている。37名の本のプロフェッショナルたちは的確に、時には厳しく己の考えを貫き通す。
読み進むと、紙の本は電子書籍にとってかわってしまうのだろうか、電子化で紙の本の価値が変わってしまうのではないかといった疑問がわき起こるはずだ。
古代エジプトでパピルスが発明されてから幾星霜、人と紙の関係は切っても切れないものだ。読書というのは、目で読むだけではなく、本を持つ手触りなどの感覚を含めたものだと思う。
世の中が便利になるのは素晴らしいことだ。しかし、生まれて初めて手にする本は「紙の本」であってほしいと願わずにはいられない。本の未来は明るく希望のもてるものだと思いたい。電子書籍に賛成反対にかかわらず、ぜひ本好きな方に読んでほしい。(紀伊国屋書店福岡本店、上妻紀子)