第13回日本成人先天性心疾患学会【シンポジウム】

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九州厚生年金病院小児科 渡辺まみ江・宗内淳・弓削哲二・城尾邦隆

九州厚生年金病院小児科 渡辺まみ江

日本における成人期に達したFontan術後患者の疫学と臨床像
― 全国アンケート集計から ―

【背景】成人期に達したFontan術後の患者は、生命予後の改善とともに増加しているが、その生活やQOLは十分には知られていない。

【目的】日本のFontan術後患者の疫学と臨床像、診療状況を知る。

【方法】日本成人先天性心疾患研究会幹事会で了承され、全国229施設に記名式アンケートを送付し、18才以上のFontan術後患者に関する調査を実施した。129施設から回答をいただき(回収率56.3%)、うち89施設(38.9%)で対象患者の診療を行っていた。手術された施設は問わず、重複を避けるため複数の施設で診療している場合には、年間の外来受診回数が多い施設に回答を依頼した。調査項目は①人数・性別・年齢②居住県③NYHA④就労状況⑤外来診療科⑥通院間隔⑦最近1年間の入院回数⑧臨床的に問題となる不整脈、ペースメーカー・ICD植え込みの有無⑨内服薬について、とした。

【結果】①患者数は944(男性502・女性422)名。20人以上を診療していたのは10施設で、計603名(63.9%)の患者をカバーし、その内3施設の患者数が100名を超えていた。年齢は18才~20才未満179、20才~30才未満549、30才~40才未満184、40才以上は33名。

②居住県は760名で回答を得られ、北海道21、東北24、関東178、中部158、関西126、中国51、四国19、九州181、沖縄2だった。66%が自分の居住県で診療を受けていた。

③NYHAは910名で回答され、ClassⅠ606、Ⅱ257、Ⅲ43、Ⅳ4とClassⅠ、Ⅱで94.8%を占めた。

④就労状況はFull time worker346、Part time144、学生178、無職139、主婦51、他91(不明26を含む)名で一部重複あり。学生を除く745名中492名、66%が何らかの形で職を得ている。

⑤外来診療科は単科では 小児科が769名と8割を超え、続いて心臓外科31、循環器内科が7と小児科単独が最も多い。合同診療では小児科+心臓外科が108、成人先天性心疾患診療部が21、小児科+循環器内科が7、循環器内科+心臓外科が1だった。

⑥通院間隔は1ヵ月未満が30、1~2ヵ月毎279、3~5ヵ月毎328、6ヵ月以上271、その他36(drop out4を含む)で、安定した遠隔期でも年間4~6回の受診を受けている患者が多かった。

⑦最近1年間の入院回数は入院なしが765名と8割を超え、1回129、2~3回38、4回以上6、長期入院中が6名だった。入院理由の記載は求めなかったが2回以上の入院50中5名がPLEとコメントされていた。

⑧臨床的に問題となる不整脈は293名にみられ全体の約3割PMIは79、ICDは5名に使用されていた。

⑨無投薬133(14.0%)処方内容は抗血小板薬564(59.7%)、抗凝固薬423(44.8%)、利尿剤310(32.8%)ACE阻害薬269(28.5%)、β-blocker 224(23.7%)、Digitalis 170(18.0%)、ARB89(9.4%)、その他154、85%以上は投薬をうけている。

【限界】アンケート集計で、患者個人情報秘匿のため個人の特定をしていない。ある程度の重複や未調査対象が存在する。

【考察】今回の調査では成人に達したFontan術後患者は944名であった。限界を考慮しても、この数字はかなり信頼性が高い。更に最近の手術登録数を考慮すれば、数年以内に2倍以上に増加すると推定される。9割以上がNYHAⅠ~Ⅱ度であり、就労率は6割を超えていた。多くは投薬をうけ、居住エリアで定期的な診療のもと、安定した病状を維持している。しかし日本の成人に達したFontan術後患者の75%は30才未満とまだ若い。約5%は1年に2回以上入院し、3割は不整脈の問題も抱える。この年代の成人先天性心疾患で10施設に64%の患者が集中しているのは、Fontan術後患者の治療背景を反映し特徴的で、今後の長期的なfollow upの手がかりとなり得る。今後増加し、高齢化する患者のQOLを高めるためにも、長期的な予後の検討や、診療に携わる医療者の備えは継続した取り組みが必要であり、今後の課題を残している。


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