佐賀県の先端的がん治療重粒子線治療について

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久留米大学医学部放射線医学教室 淡河 恵津世 准教授

久留米大学医学部放射線医学教室 淡河 恵津世 准教授

粒子線を大きく二つに分けると陽子線と重粒子線に分けることができ、陽子線は水素イオンから重粒子線は炭素イオンから成り立っています。

水素は無色無臭の気体で水の成分であり非常に軽く燃えやすいという性質があります。炭素は人体の2/3を構成する成分で、脂質や炭水化物に代表されるようにエネルギーの原料となる物質です。両方とも人間の体の成分に関わっているので、比較的体に優しい治療法ということになります。より詳しく性質をみてみると炭素は水素よりも重く、陽子も大きいことがわかります。

まず、放射線治療について説明します。

放射線と聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、検査など医療の現場では頻用されているもので約100年前にレントゲン博士がX線を発見したのが始まりだと言われています。放射線の種類は今紹介したX線や重粒子線の他にも可視光線(虹)や紫外線などがあります。可視光線や紫外線が非電離放射線というのに対し、治療に使われるX線や重粒子線は電離放射線と呼ばれます。

放射線治療とはがん治療のひとつで手術後に行ったり抗がん剤と一緒に使用されたりする治療法です。がん治療における放射線治療の割合は欧米が60%なのに対し日本では25%と残念ながらまだ浸透性が低いというのが現状です。

では治療の種類について詳しく説明していきましょう。

放射線をあてることを照射といいます。身体の外側から放射線をあてる外部照射や手術中に放射線をあてる術中照射などは保険診療に含まれますが、粒子線治療は現時点では保険外治療となっています。正常細胞とがん細胞が混ざっている部位に放射線治療を行うと正常細胞もがん細胞も両方ダメージを受けますが、時間が経つと正常細胞は元に戻り、がん細胞は死滅します。これを繰り返すことにより放射線治療の効果がでてくるのです。

放射線治療というのは局所療法のひとつで、なかでも粒子線治療というのはさらに局所への治療が可能でがん細胞にピンポイントで治療でき正常細胞のダメージを最小限にすることができるのです。まとめますと、重粒子線治療とは放射線治療の一種で、特徴としては次の様なものが挙げられます。

  1. がん病巣にピンポイントで照射
  2. 痛みを伴わず副作用が少ない(高齢など体力に不安のある方の治療も可能)
  3. がん細胞を殺傷する能力が高い(X線、陽子線の2~3倍)
  4. X線が効きにくい、手術が難しい場所にあるなど難治性がんにも効果的
  5. 治療時間が短い、通院での治療が可能

重粒子線治療の対象となるがんは、ひとつの部位に留まっている固形のがんで、白血病などの血液のがんや広範な転移があるがん、過去に放射線治療を受けているがん、胃がん大腸がんなど不規則に動く臓器のがんなどは残念ながら対象になりません。

費用は純粋に重粒子線がん治療だけでだいたい300万円程度かかりますので患者さんからすると難しい面ではあると思いますが、平成25年に完成予定の九州国際重粒子がん治療センター(佐賀県)では重粒子線治療という最先端の医療を提供できると思います。


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